日本も他人事じゃない!? FBIのネットおとり捜査で逮捕者が
26日、FBIがおとり捜査用に開設したWebサイトを通じて他人のクレジットカード情報を第三者に提供したとして、東京在住のシンガポール人男性が、米国からの身柄の引き渡し要求に応じた警視庁により拘束された。このニュースをうけ、ネットでは「FBIかっけぇ」「おとり捜査こええ」と話題になっている。
ネットでのおとり捜査といえば、今年1月に総務省が、WinnyやShareなどのファイル共有ソフトのネットワークに、著作権違反を注意喚起する警告文を入れた「おとりファイル」を流通させる試みをおこない、話題となった。ただし、日本では「おとり捜査」は概ね違法となっているため、あくまで検挙ではなく注意喚起が目的であった。
しかし、海外では、ネットを使ったおとり捜査の事例は多い。どのような事例があるのか、みてみよう。
◆ミス・アメリカが14歳に扮し、小児性愛者取り締まりに協力
2007年、ニューヨーク市警が、ミス・アメリカ2007のローレン・ネルソンさん(当時20歳)の協力でおとり捜査を行い、未成年を買春しようとした疑いで11人を逮捕した。ネルソンさんは、“14歳の少女”として、自身の写真を出会い系サイトに掲載。その写真に釣られ、会う約束をした男たちを待ち受けていたのは、警察官とFOXの人気番組「America’s Most Wanted」の撮影クルーだった。美女とはいえ、20歳が14歳のふりとは何とも大胆な発想だ。
◆「児童ポルノをダウンロード」リンクをクリックでアウト!
FBIが行ったおそろしい罠。児童ポルノサイトへの誘導を目的としたリンクURLを、掲示板サイト等に貼り、リンクをクリックした人を児童ポルノ処罰法違反容疑で強制捜査したという。2006年の10月頃にこの捜査は行われ、クリックした人のIPアドレスから個人情報を特定したという。本当に間違ってクリックした人もいるであろうに……。
◆ Facebookも監視「犯意誘発型」の捜査も当たり前?
おとり捜査はFacebook上でも展開されている。逮捕されたイスラム教徒の男性(22歳・アメリカ人)は、Facebookへ非イスラム教徒を敵視する内容の書き込みをしたことで、FBIに目を付けられた。同サイトを通じて、工作員から爆弾提供などを持ち掛けられ、渡された偽爆弾の起爆装置を作動させたところで逮捕。男性はこの捜査手法の不当性を訴えたものの、捜査は「適正」と判断され、禁錮25年となった。
これら上記の例は、海外の法律に則って行われたおとり捜査である。しかし、恣意的な運用の危険性を多分に孕んだダウンロード違法化の流れと、こうしたおとり捜査の話を併せて考えると……。どうにも居心地が悪くならずにはいられない。 <取材・文/林健太>
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