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新登場!iOS版Chromeが越えられない3つの壁

 Googleの人気ブラウザ「Chrome」のiOS版がついに登場した。5月には、Internet Explorerを抜き、週間シェア1位となったChromeが、iPhone、iPadでも使えるようになり、ますます人気が高まりそうだ。これまでiPhoneでは、Opera MiniやFirefox Home(非ブラウザ)など、PCでも人気のブラウザのiOS版ともいえるアプリは存在したが、iOS版Safariの地位を脅かすブラウザアプリは存在しなかった。  満を持しての登場に、PCで普段からChromeを使っているユーザーを中心に、ネットでは使ってみた感想が多数投稿されている。のぞいてみると、大絶賛の嵐!と思いきや……意外と賛否両論となっている。 「軽すぎて感動!」「ブクマ同期もありがたい」と満足の声もあれば、「デフォルトブラウザにできないのが残念」「Android版と同じ。違いは遅くなっていること」といった批判的な声もある。  期待が高かっただけに、なかなか感想だけでは良し悪しを判断できない状況となっている。そして気になるのは、iOS版ChromeはSafariに取って代わる存在になるのかという点。Apple製品群を愛用している筆者も、早速試してみたが、結論から言うと、「代替ブラウザになるのはまだまだ厳しい!」。その理由を3点あげてみよう。 ◆Safariとの連携が前提になっているアプリ群  iOSアプリの多くはsafariとの連携が前提になっているものが多い。例えばTwitterクライアントからwebページを開きたい場合、safariに飛べるようになっている。その他のアプリでも「Safariで開く」が用意されており、どうしてもsafariを使う方が便利という場面に出くわすのだ。Chromeをデフォルトブラウザとしては使えないiOSの壁は大きい。 ◆ブックマークにアクセスしにくい
Google Chrome for iOS ブックマーク

ブックマークが遠い……

 iOS版Chromは、Chromeを利用している他デバイスとGoogleアカウントでブックマークを共有できる。しかし、スムーズにブックマークへのアクセスができず少し戸惑った。アクセスするには、「新規タブを開いて下部を操作する」か、「右上の三本線マークのメニューを開いて選択する」しかないようだ。ブックマークにはなるべく一発でアクセスしたいものだが、画面下部のメニューバーを除き、ページ表示領域を少しでも広く確保するためには、しかたがなかったのだろう。 ◆Chrome拡張機能が利用できない  Chromeが人気ブラウザとして今の地位に立った理由の一つに、豊富な拡張機能が挙げられるだろう。しかしiOS版では拡張機能が現時点で利用はできない。ブラウザ拡張で、クリッピングやSNS投稿をスムーズに行いたいChromeユーザーは、iOS版では同じ体験ができず、不満に感じる人が多そうだ。
Google Chrome for iOS

PC・Mac版Chromeで表示したページを瞬時にiPadやiPhoneでも見られる!

 以上の点で、現時点ではsafariのデフォルトブラウザの地位を脅かしはするものの、奪うとまではいかないようだ。しかし、Chromeを使っている他デバイスと、保存しているパスワード、開いているタブ、閲覧履歴、ダウンロード履歴などが同期できることなど、Chromeユーザーにとっては有効に使える点が多いことも確か。Chrome、そしてSafariがどの様に進化していくのか、双方の動きに注視していきたい。 <取材・文・撮影/オクムラタクマ>
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