更新日:2013年10月04日 18:43
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反日祭りが終わった中国、不買運動収束の糸口は“エロ”にある!?

中華人民毒報 下馬評通り習近平が総書記に選出され、政権が代わった中国では2か月前に吹き荒れた反日の嵐はすでに過去のものとなりつつある。  公安当局によると、10月以降、大規模な反日デモは確認されておらず、北京の日本大使館前のデモ隊対策のバリケードも、11月半ばに撤去された。  日系企業各社が不買運動に泣かされたビジネス界でも、反日の影響は下火となりつつある。『北京青年報』(11月15日付)によると、襲撃事件の多発や不買運動によって9月以降鈍化していた日本車の販売台数も回復傾向にあり、日産やホンダなどは通常の8割ほどにまでシェアを回復しているという。  反日による業績悪化からの脱却について、上海市内で日本料理店を営む津森隆さん(仮名・44歳)もこう話す。 「10月までは売り上げが3分の1に激減していたが、反動からか、今ではデモ前の2割も売り上げが伸びている。中国人客の中には、『反日デモのさなか、しかたなく韓国料理店などでマズい刺し身を食って、逆に日本料理のすばらしさに気がついた』と話す人もいます」  大連市に住むIT企業経営・川副満彦さん(仮名・39歳)も言う。 「中国人向けの就職説明会を開催したら、なんと昨年の倍以上の応募があった。大連では日本企業なしに地元の雇用は成り立たない。お祭りとしての反日が終わり、地元の若者も現実的になってきた」  大連市の留学生・町田浩太さん(仮名・28歳)の周りにも、“日本回帰”の動きが広がる。 「反日デモ以降、中国の動画投稿サイトでは、大量に無断でアップされていたアニメやAV、連ドラなど日本産コンテンツが一旦すべて削除されてしまった。私の周りの中国人AVファンは、『愛国のため』と、しばらくは台湾・韓国のAVや流出もののハメ撮り動画で我慢していた。しかしそれもつかの間、今では『やっぱり日本製でなければ』と仕方なく海賊版DVD屋で日本の新作AVをこっそり購入しています。日本製品の不買運動収束の糸口は意外にもエロにあるのでは?」   一方、もうひとつのエロの世界では、日本人の客としての価値も再確認されたよう。広東省東莞市のメーカー勤務・高島功夫さん(仮名・36歳)の話。 「先月まで『犬と日本人はお断り』と張り紙がされていたエロサウナのマネジャーが、最近になって営業電話をかけてきた。彼曰く『この街の風俗産業は、スケベで金払いのいい日本人がいないと成り立たない!』と。褒められているのかけなされているのかわかりませんが(笑)、実際に行ってみたらサービスがよくなっていました」  わずか2か月前。各地で発生した敵愾心剥き出しの反日デモからは、まるで嘘のような状況の変貌ぶりだろう。「トラブル孫悟空」の愛称でもおなじみ、中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。 「恋愛の世界でも、ケンカ別れして、初めて相手のよさがわかるというもの。今回の反日デモで、日本と中国はお互いが唯一無二のパートナーであることを確認しあった面もあるのでは」  日中が恋人かどうかはともかく、大企業から一般人まで、戦略的な互恵関係を築くことが問題解決の鍵となるかもしれない。 <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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