ゴロ寝PCシリーズ開発秘話「寝ずに改良してきました」
毎日何時間、液晶画面と向かいあっているだろうか? 総務省の「平成23年社会生活基本調査」によると、職場以外でのネット利用時間は、25~34歳が最も多く、1時間17分だという。そこまでしてネットにかじりつきたいのか? とも思うのだが、一度馴染んだ生活スタイルは変えられないもの。
そんなハードネットユーザーの間で、たびたび話題にのぼる商品がある。ユニークなPCグッズに定評のあるサンコーレアモノショップの『ゴロ寝de』シリーズだ。
⇒【拡大画像】『ゴロ寝de』シリーズを振り返る
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=396934 ◆『ゴロ寝 de スク』(2005年4月発売) 2005年といえば、Windows XP、Mac OS X Panther(Tiger)の時代。「パソコンをソファーやベッドでダラダラしながら使いたい」というスタッフの「あったらいいな~」から作られた商品だったが、多くの問題点を抱えた商品であった。 「会社が出来たばかりで、オリジナル商品を出すノウハウもなく、試行錯誤でした。最も加工しやすいという理由で木製だったのですが、それが問題でした。木が虫食いになっていたり、割れたり、品質のばらつきが大きく、出荷前の検品が大変でした」 その後、『ゴロ寝deスクトップ』や『ゴロ寝deマウス』などシリーズの礎となるモデルが登場していくものの、木製商品の検品の大変さは変わらなかった。 ◆『ゴロ寝 de スク アルミ』(2006年8月) 問題を解消したのは、木製からアルミ製への素材変更。重量も使い勝手も、検品の手間も大幅に改善されたという。 「関節の機構を考えるのに苦労しました。ヒントになったのは、ノック式ボールペンの構造。それまでは角度を決めてネジ止めしなければいけなかったのですが、関節も増やし、ワンタッチで動かせるようにしました」 結果は数字になって現れた。単品での売上は約5倍になったという。すると、今度は別の問題も発生した。 「他社の類似商品が多数登場しました。いわゆるコピーものです。小さな町工場みたいなメーカーの商品を、大手メーカーが真似るとはビックリでした。ただ、売上は順調で、『USB手袋』などの『あったかシリーズ』と、液晶モニター用アームに並ぶ屋台骨の一つとなりました」 ◆『スーパーゴロ寝クッション』(2008年4月) しかし、シリーズ全ての商品が順調というわけにはいかなかった。うつぶせになり、お腹の下にクッションを入れて快適にPC作業をするという『スーパーゴロ寝クッション』は、販売に苦戦したという。 「コンセプトは画期的だったと思うのですが、ものが大きすぎて(笑)。在庫がなんとかなくなって、少しだけ再生産できた程度です」 同シリーズは、「ゴロ寝」というコンセプトのもと、風呂場でタブレットなどを使うための『お風呂deゴロ寝デスク』、さらに『スマートフォン用クリップ式フレキシブルアーム』、『ゴロ寝deマウス』など、様々なグッズが生み出されてきた。
なかには、厳しい販売状況となった商品もあったが、同シリーズは約8年も続いている。他にもユニークな商品を世に送り続けている同社の開発スタッフは、いったいどの様な人物なのだろうか。
「サンコーのオリジナル商品は、日本に2人、中国に2人の4人体制で開発しています。人数が少ないうえ、社風として企画会議でプレゼンという過程もないので、思いついてから発売まで約3ヶ月というスピード感のある現場です。アイデアは、業務時間内で考えるという感じではなく、四六時中考えてます。寝ずに考えをまとめてしまうこともあります(笑)」
ダラダラするためのグッズを寝ずに考えるとは、仕事への愛というか、日本人らしい真面目ぶりというのだろうか。
「今後も、基本的に商品開発のベクトルは変わりません。大手が採算を考えて作れないものも、『あったらいいな~』だけで作っていきます。『仰向けゴロ寝deスク』でシリーズ改善の歴史で完成形になったと思っています。なので、今後は新機軸を打ち出します。たとえば、苦戦した『スーパーゴロ寝クッション』の超進化版とか……。どんな商品が飛び出すか、楽しみにしてください」
生活の一部、身体の一部とも言えるパソコン、タブレット、スマホなどのネット端末。これらを快適に、楽しく使うべく生み出されるサンコーの新商品に今後も期待したい。
<取材・文/林健太 取材協力/サンコー(http://www.thanko.jp)>
最新モデルの『仰向けゴロ寝deスク』は、昨年10月に発売され、ベッドの上で仰向けに寝転びながら、ノートパソコンが操作するというイメージ画像に「そこまでするか(笑)」と話題になった。一発商品と思いきや、同シリーズは約8年の歴史の大人気シリーズで、同社の屋台骨の一つでもあるという。そこで、『ゴロ寝de』シリーズ8年の歴史を開発者に振り返ってもらった。
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=396934 ◆『ゴロ寝 de スク』(2005年4月発売) 2005年といえば、Windows XP、Mac OS X Panther(Tiger)の時代。「パソコンをソファーやベッドでダラダラしながら使いたい」というスタッフの「あったらいいな~」から作られた商品だったが、多くの問題点を抱えた商品であった。 「会社が出来たばかりで、オリジナル商品を出すノウハウもなく、試行錯誤でした。最も加工しやすいという理由で木製だったのですが、それが問題でした。木が虫食いになっていたり、割れたり、品質のばらつきが大きく、出荷前の検品が大変でした」 その後、『ゴロ寝deスクトップ』や『ゴロ寝deマウス』などシリーズの礎となるモデルが登場していくものの、木製商品の検品の大変さは変わらなかった。 ◆『ゴロ寝 de スク アルミ』(2006年8月) 問題を解消したのは、木製からアルミ製への素材変更。重量も使い勝手も、検品の手間も大幅に改善されたという。 「関節の機構を考えるのに苦労しました。ヒントになったのは、ノック式ボールペンの構造。それまでは角度を決めてネジ止めしなければいけなかったのですが、関節も増やし、ワンタッチで動かせるようにしました」 結果は数字になって現れた。単品での売上は約5倍になったという。すると、今度は別の問題も発生した。 「他社の類似商品が多数登場しました。いわゆるコピーものです。小さな町工場みたいなメーカーの商品を、大手メーカーが真似るとはビックリでした。ただ、売上は順調で、『USB手袋』などの『あったかシリーズ』と、液晶モニター用アームに並ぶ屋台骨の一つとなりました」 ◆『スーパーゴロ寝クッション』(2008年4月) しかし、シリーズ全ての商品が順調というわけにはいかなかった。うつぶせになり、お腹の下にクッションを入れて快適にPC作業をするという『スーパーゴロ寝クッション』は、販売に苦戦したという。 「コンセプトは画期的だったと思うのですが、ものが大きすぎて(笑)。在庫がなんとかなくなって、少しだけ再生産できた程度です」 同シリーズは、「ゴロ寝」というコンセプトのもと、風呂場でタブレットなどを使うための『お風呂deゴロ寝デスク』、さらに『スマートフォン用クリップ式フレキシブルアーム』、『ゴロ寝deマウス』など、様々なグッズが生み出されてきた。
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ