日本がアジアで一人勝ちするための「成長戦略」とは?
6月5日、安倍晋三首相は都内で講演し、「成長戦略第3弾」を発表した。しかし、その内容は具体性を欠き、期待外れだった。この日の日経平均株価は、首相の表明を受けさらに下落し、518円安となったのだ。
◆アベノミクスの3本目の矢「成長戦略」は期待外れだった!?止まらない株価の下落【後編】(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
⇒【前編】はコチラ
日本はアジア諸国と租税競争をしており、高い法人税率や法外な所得税の最高税率は、優良企業や優秀な人材の国外流出を招くだけだ。日本の法人税率は40%近くで、香港やシンガポールの10%台に大きく引き離されている。所得税の最高税率も時代に逆行して55%まで引き上げる。これもアジア諸国では10%台、20%台が当たり前である。現代の企業活動は多国籍化しているので、例えばAmazonは日本で多額の売り上げがあっても、日本では法人税を払っていない。突出して高い税率は、むしろ税収を減らすのである。
逆にロシアでは、’01年に一律13%の定率所得税を導入した結果、’01年の個人所得税の税収がなんと47%も上昇し、驚くことに’02年はそこからさらに40%も税収が増加したのだ。この程度のフェアな税金なら脱税やトリッキーな節税などせずにそのまま申告したほうがいいので、一気に税収増に繋がった。上に政策あれば下に対策あり、なのである。
◆日経平均を2万円台に確実に引き上げて、日本が圧倒的にアジアで一人勝ちするための成長戦略
(1)法人税、所得税を一律10%にする
(2)TPPにより聖域なき関税撤廃
(3)原発再稼働
【今週の数字】
成長戦略第3弾
150万円
安倍首相が6月5日の昼、成長戦略の第3弾を発表した。10年で国民総所得(GNI)を1人当たり150万円増やすと宣言したが、具体策がなく、その後に株価は暴落……
【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
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