更新日:2013年08月23日 13:39
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世界最大の将棋大会『第1回将棋ウォーズ名人戦』観戦レポ

 去る5月30日より開催されていた『第1回 将棋ウォーズ名人戦』が、6月9日で最終日を迎え、その模様がニコニコ生放送にて生中継された。
第1回将棋ウォーズ名人戦

ニコ生の解説は遠山雄亮五段と竹俣紅女流2級が務めた

「将棋ウォーズ」は、iPhoneやiPad、Androidのスマホやタブレット、パソコンのブラウザなどでオンライン対局ができる将棋アプリ。『第2回 将棋電王戦』で史上初めてプロ棋士に勝ったコンピュータ将棋ソフト「ponanza」の山本一成氏が開発に参加していることでも話題となり、現在の利用者は65万人。アマチュアだけでなくプロ棋士もコッソリ参加しているようで、まさに世界最大規模の将棋大会になることが予想されていた。 「将棋ウォーズ」のオンライン対戦で持ち時間として選べるのは、3分と10分の2種類のみ(オフラインの対CPU戦では無制限)。時間がなくなると「(時間)切れ負け」になるので、最長でも20分で勝ち負けが決まる。いつでもどこでも、短い時間で気軽に将棋を楽しめるというコンセプトだ。 「『将棋ウォーズ』では将棋の強さより反射神経のほうが重要ですね(笑)」(解説のプロ棋士・遠山雄亮五段)  ゲーム中では「ponanza」が自分の代わりに5手指してくれる「棋神降臨」も使えるので、実力差がある相手にも勝てる可能性がある。さらに、勝ったり負けたり「王手」をしたりといった場面に飛び出すド派手な演出に加え、特定の戦法を採用すると、その戦法にちなんだプロ棋士のイラストが入ったカードが出現。自分が好きなプロ棋士のカードを集めるという要素も盛り込まれている。  さて、そんな「将棋ウォーズ」の大会だけに、生放送の解説もてんやわんや。「3分の将棋の解説なんてできるのか」という視聴者コメントもあったが、早指し将棋ならではの大逆転の将棋も多く、好手や悪手、迷手や鬼手の連発で盛り上がる。形勢は完全に負けているのに、粘りに粘って相手を時間切れにして勝つという「将棋ウォーズ」ならではの対局も見られた。
竹俣紅女流2級

竹俣紅女流2級

 そして、もしかするとその対局以上に将棋ファンの注目を集めていたのが、この日の解説を務めていた竹俣紅女流2級。昨年10月にプロの女流棋士になったばかり、若干14歳の中学生だ。もちろんニコ生は初登場。やはり「動く紅ちゃん先生」をひと目見てみたいという視聴者が多かったのか、この日のコメントの内容も、8割方は彼女に関するコメントで占められていた……といっても過言ではないだろう。  この美人すぎる女流棋士、とにかく仕切りがウマい。コメントも的確。そして視聴者だけでなく、出演者もわれわれ取材陣も一様に度肝を抜かれたのが、視聴者へのアンケートコーナーだ。まず第一問がこれ。 「フリーターの方に質問です。あなたはどちらですか?」 (1)働く意欲のあるフリーターだ。 (2)働く意欲のない立派なニートだ。
ニコ生アンケート

なんだこれ!

 学校で将来ニートにならないための職業観の勉強をしていて、フリーターやニートの定義を習ったので、調査してみたかったとのことだが、もちろんコメントは阿鼻叫喚である。「みなさんちゃんと職業観を身につけないとダメですよ!」という紅ちゃん先生に対して「おまえら涙目」「サーセン」といったコメントが乱舞する。あれ……もしかしてこれ……ご褒美?  その後も矢継ぎ早に繰り出される緩急自在のアンケートで、視聴者を手玉に取る紅ちゃん先生であったが、労働基準法の関係で「21時までのシンデレラ」ということでお役御免に。将棋のことをすっかり忘れていたが、大会はまだまだ続く。 ⇒竹俣紅女流2級【ミニインタビュー】
https://nikkan-spa.jp/457093
 番組には「GPS将棋」とのトライアルマッチ(https://nikkan-spa.jp/403267)で見事100万円を獲得した「あじ夫(安食総子女流初段の夫)」こと細川大市郎氏や、東大将棋部主将の奥村雄太氏、同じく東大将棋部所属でプロの養成機関である奨励会員の谷合廣紀三段ら強豪も駆けつけ、その場で対局に。ランキング上位同士(※)の超ハイレベルな戦いを披露した。 ※「将棋ウォーズ」のオンライン対戦では、自分の強さに合わせた相手が自動的にマッチングされる。 『第1回 将棋ウォーズ名人戦』のランキング上位は、勝ち負けを点数化した「レーティング」に基づく段位によって順位が決まる。野球の首位打者争いのように、上位ランカーは対局しないほうがよい場合もある。逆に下位は少しでも勝ち星を積み重ねたいので、3分切れ負けの「弾丸モード」で連勝するしかない。 「実は僕もランキングに入ってたんですけど、きょうはもう消えちゃいましたね(笑)」(遠山雄亮五段)  この日は結局タイムアップの23時ギリギリまで熱戦が繰り広げられ、ランキングの順位が確定。大会期間中の合計で6万人もの参加者を集めたとのことで、ネット将棋の新しい盛り上がりを見ることができた。  「将棋ウォーズ」はアカウントさえ作れば無料で1日3局までオンライン対戦可能で、プロ棋士クラスの上位ランカー同士の観戦も無料。それほど強くない筆者も、ほぼ初心者のカメラマンもプレイしているが、十二分に楽しめている。将棋に興味がある方は、ちょっとのぞいてみてはいかがだろうか。 ⇒【フォトレポート】はこちら https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=457103 ◆第1回将棋ウォーズ名人戦最終日 – ニコニコ生放送 http://live.nicovideo.jp/watch/lv139373054 ◆日本将棋連盟公認 将棋ウォーズ http://shogiwars.heroz.jp/ <取材・文/坂本寛 撮影/林健太>
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