工場被災で商品提供できなかったジュースとビールの復活物語
http://www.shimajiro.co.jp/yasai5959/?gclid=CJeeyYujoqcCFQrgbgodF1GQCg
【恵比寿麦酒祭】
http://www.sapporobeer.jp/area/shutoken/yebisubeerfes/index.html
東日本大震災により、東北地方にある多くの工場が大打撃を受けた。日産自動車の工場が復活した様子がCMで流れたことや、ソニーは仙台工場の敷地面積の約35%にあたる4万平方メートル分を地元の中小企業や研究機関に無償で貸し出すことが話題となった。
そんななか、カゴメとベネッセコーポレーションは9月6日に両社が共同開発した野菜ジュース「すくすくやさい」(「やさい100%」と「ぶどう味」)の発売を開始する。このジュース、新発売だというのに、被災地では3月の時点でこのジュースを飲む子供の姿があったという。
なにがなにやら? と思われるかもしれないが、事情を説明すると、元々この商品は3月29日に発売を開始する予定だったのだという。そのため3月上旬に商品は完成していたのだが、3月11日の14時46分に大地震が発生し、カゴメの工場も被災。そのため同製品を増産することができなくなり、発売は延期になったのだ。
だが地震から約11時間後の12日、同社の0歳~6歳児向けサービスである「こどもちゃれんじ」が被災地支援を決定。そのときに、生産済みだった「すくすくやさい」を提供するようカゴメに依頼したところ、初期ロットとして生産済みだった商品を提供してくれることとなった。そして、提供を受けた同商品を被災地の幼稚園・保育園に配布し、その後「こどもちゃれんじ」のキャラクター・しまじろうによる被災地応援イベントでも配布したのだ。
幼稚園・保育園配布にあたっては、ベネッセ社員が岩手・宮城・福島にある園を中心に、電話で希望を確認し、配布を行った。またイベントでは、宮城県内のイベント会社が支援しているNPOにヒアリングしながら決定したという。
そんな経緯を経て約6か月後、カゴメの工場復旧に伴い、商品が市場に出回ることとなった。ベネッセの広報担当は「避難所の食事は、野菜が不足しがちのため、重宝してもらえたかと思います。袋の中に入っているこのジュースを見つけた子どもたちがさっそく飲もうとするので、『冷やして飲んでね』と伝えても、我慢できずその場で、『おいしい。おいしい』とぐびぐび飲んでくれたのが印象的でした」と当時の印象を語っていた。
一方、ビール業界ではサッポロビールにも復活ストーリーがあった。震災により同社の仙台工場と千葉工場が被災した。復旧までの間、関東以北の小売店では黒ラベルやエビスといったサッポロのビール製品が品薄になっていたが、当時は生産だけでなく、トラックの手配数が足りず物流にも影響が出ていたのだ。
首都圏へは他の工場から運べないかを考えたものの、震災の影響で需要に対し供給が追いつかない状態だったのだという。その後、千葉工場は3月28日にパッケージング工程などを含む一部工程を再開。その後4月25日に仕込工程を再開し、全工程が復旧した。仙台工場は5月2日にパッケージング工程を含む一部工程が再開、5月19日に全工程が復旧し、全工場が復旧となり安定供給にはずみがついた。
また、同社は積極的に様々な形で復興支援を行っている。被災地への復興支援は義援金、飲料水・食材の提供など災害時直後から行っていた。さらにビールの原料であるホップが東北でも収穫されるということもあり、東北産ホップを100%使用した商品を9、10月に全国で発売。この商品の売り上げの一部を被災した農家の方々の復興支援に役立ててもらう予定だ。
そして、9月16日から19日にかけ、恵比寿ガーデンプレイスにて「恵比寿麦酒祭」を開催する。このイベントではメイン会場でのビールの売上金の全額を義援金とし、東北産の食材もふんだんに使用するという。
同社広報担当は震災後に十分な量の商品を提供できなかった時に、現場の営業から聞いた話をこう語った。
「サッポロの商品が満足にお届けできないことで、売り上げが減る可能性があるお店もありました。『なんで届けられないんだ!』ということにもなりかねないのに、『ウチは後でいいから、ほかのところに届けてあげて』というお客様が多くいらっしゃったそうです。厳しい時にも関わらず、自分たちの利益だけでなく、他の方を気遣う方がいる。サッポロビールは多くのお客様に支えられていることを改めて認識しました」
【すくすくやさい】
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