怠け者の異常な執念が生んだ「仕事効率化術」に唖然
仕事終わらないアピールは、仕事ができない証拠、などとも言われるが、声を大にして言いたい。好きで残業しているわけではない、終わらないものは仕方ない、と。だが、世の中には、極度の怠け者であるがあまり、「仕事を終わらせる」ではなく、「休む・帰る・寝る」ことを目的とした結果、驚くほど効率的にタスク処理ができるようになった人がいる。彼らの執念の効率化術を聞いてみた。
「基本、携帯電話は取りません。電話でのやり取りって無駄が多いと思うんです。メールなら隙間時間に連絡ができる。電話は、窓口の人に取り次いでもらう手間、掛けた時間にその人が席を外している可能性、電話で話した内容は形として残らないから、その後その内容をパソコンに打ち込む手間もあります。最初からメールでやり取りしていれば、送受信したメールがタスク内容のメモ代わりにもなるんです」(広告・29歳)
「メールでよく使うフレーズを辞書登録しています。『お』と打ったら『お世話になっております』、『よ』で『よろしくお願いいたします』がすぐに出るように。コンマ1秒レベルで短縮することで、実際に仕事の進みも早くなりました」(金融・27歳)
「自分の席の横に大きな段ボールを置いて、いらない書類を片っ端から入れています。適当に机に置いていると、どんどん机がぐちゃぐちゃになって仕事を進めづらくなるから。いちいちゴミ箱まで歩いて捨てに行っていたら、その間に上司に呼び止められて仕事をふられたり、雑談の相手をさせられたりするので、呼び止められないための工夫です。段ボールの箱にも『機密書類』と書いて、自分用のゴミ箱だとばれないようにしています。勝手にゴミ箱作っているとバレたら面倒なので。たまったらまとめて捨てに行きます」(IT・26歳)
「仕事中に誰かに話しかけられないように、忙しい時期はマスクをしています。そうすると、体調悪そうに見えてみんな話しかけてきません。職場でのコミュニケーションが楽しいのも、睡眠あってこそ。ちゃんと早く帰れてたっぷり睡眠を取れないと、誰と話しても楽しくありませんから」(出版・30歳)
「よく、上司の目が怖くて早く帰りづらい、と言いますが、“気付いたらいなくなっていた”状態を演出するのにもテクニックがあるんです。例えば、携帯で話しているフリをして『あ、ちょっと電波悪いみたいです』と言いながら廊下に出て、そのときにさりげなくカバンを持ってそのまま帰る。あと、デスクに置いておく用のダミーのカバンとジャケットも持っています。どうしても帰りたいときは、引き出しからそれ用のカバンを出して、デスクの脇に置いておく。そうすると、ただの席外しだと見せかけられます」(商社・27歳)
彼らみんなに共通しているのは、仕事や出世に対する野心はほとんど感じられないが、睡眠や休養への野心には満ち溢れている点だ。ただ、これがそれなりの結果を出しているなり、許されるだけのキャラを確立していないと、単にコミュ障気味の厄介者にもなりかねない。下手をすれば一生休みになってしまうこともあるような……。 <取材・文/朝井麻由美>
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