紳助引退と無関係に引退する若手芸人たち
とあるお笑い芸人の単独ライブを観にいった帰り道のこと。あるお笑い系に強いライターさんと飲みながら、「カリカの林さんが引退しましたね。ラジオで『家業の旅館を手伝う』って言ってたのを聞きましたよ」などと話をしていたら、「そういえば最近、廃業するお笑い芸人が多いなあ」と言う。
島田紳助引退に関連し、暴力団と関係する芸能人リストが出回る昨今である。やはり暴排条例にひっかかるような芸人がいっぱいいるのか!? と色めき立ち、水を向けると「いやいや、そんな大それた話じゃなくてさ」と苦笑されてしまった。
「まあ、本当によくある話なんだけどさ、単純に食いあぐねて芸人廃業っていうパターンなんだけど、今年はけっこう話を聞くんだよね。テレビにちょろっとは出ていた芸人から世間に名前が全然出てないお笑い芸人まで、オレが仲良くしていた若手でも何組か辞めちゃってさあ」
ライター氏によれば、辞めていく芸人は一様に「お笑い界に生き残る『枠』がない」と語るという。確かに、最近はテレビのバラエティで「ネタ番組」を見かけることが少なくなった。昨年4月に、近年のショートネタブームを巻き起こした「レッドカーペット」がレギュラー放送を終了した頃から「ネタ番組減少の危機」は囁かれていたことだが、先月末には「あらびき団」も終了した。
「だから、辞めていく若い連中の中には『もうお笑いブームも去ったし、上は詰まりまくっている。先が見えない』とか言うヤツも多いよ。ただ、そんなのずーっと昔から状況は変わらないわけで、『枠』なんて自分でつくるのが芸人だろって思ったりもするんだよね。そりゃ、難しい話だろうけどさ」
ちなみに、今年、ライター氏の周辺で辞めていく芸人の特徴としては「大卒でキャリア4~5年目」が多いとか。ちょうど大学在学中に芸人ブームが来て、「オレも芸人になろう」と養成所などに入り、急増していたネタ番組にも多少は出演。「俺、いけるんじゃないか」と思ってたら売れないまま28、29歳になって「30歳の壁」を突破できないで、別の道を模索するのだという。
「いや、まあ、最初に言ったとおり本当によくある話だよ。30歳を目前に『この道に向いてない』と転職するのと同じなんだけど、なにせここ数年、異常に若手芸人が増えたからさ。30歳手前で廃業する芸人は一定の割合いるんだけど、分母が大きい分、その数が目立つって印象かな。ただ、ご存知の通り、キャリア4~5年で売れる芸人なんて何組いるんだよ、まだまだこれからじゃない? とは思うけど僕はライターだからそんなに強くは言えない。先輩芸人とかに相談した上での引退だろうからね」
では、辞めた若手お笑い芸人たちはどのような道に進んでいるのだろうか?
「会社員になったのもいるけど、なんか、『先がない』とか言って辞めたくせにフラフラしてるのが多いんだよな(笑)。特にビジョンも持たずに『海外に留学する』だの、『俳優になる』だの。だったら、もう少し芸人で頑張りゃいいじゃん、とか思うんだけど(笑)」
取材・文/日刊SPA!取材班
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