今、最もカオスなバンド「NATURE DANGER GANG」の衝撃
アナーキーと言えばいいのか、カオスと言えばいいのか。客が盛り上がらなければ、「俺たちが客席で盛り上げる」とばかりにフロアに降りて行き暴れまくる。気がつけばセーラー服を着ていたはずの女性ボーカルのユキちゃんが亀甲縛り姿になっている。
そもそもステージに何人立っているかが、わからない。SAXを吹くシルクハットの男もいれば、激しく腰を振るレゲエダンサーもいる。しかも、メンバーの数が毎回違っていたりもする。
だが、ともかく彼らが登場すれば、熱狂の渦を巻き起こすのは間違いない。彼らの名はNATURE DANGER GANG(ネイチャー・デンジャー・ギャング。以下、NDG)。今、最も注目を集めている若手バンドのひとつだ。
前回、元落語家のメンバー・春太郎氏のライフヒストリーをがっつりと掘り下げたが(https://nikkan-spa.jp/714940)、今回はリーダーのSEKI氏(Vo)を始め、mmeegg!!(メグメグ)氏(Vo)、春太郎氏(Vo)、福山タク氏(SAX)、CHACCA(チャッカ)氏(ダンサー)の5名に座談会をしていただき、話題のバンド・NDGとは何か、に迫っていく。
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――まず、メンバーの数なんですけど、いったいNDGには何人いるんですか?
SEKI:8人から10人ぐらいですかね。ボーカルとラッパーは5人ぐらいいますね。あとはドラムにサックス、ダンサー。それにDJがいるときもあったりとか、メタルパーカッションがいたりとか、マンガ家がいるときとか、そのときによっていろいろ変わるんで。
――NDG結成のきっかけは、SEKIさんがバンドの「どついたるねん」(http://dotsuitarunen.tumblr.com/)の影響を受けたからだ、という話を聞きましたが。
SEKI:そうですね。ちょうど1年半前とかにはじめて「どついたるねん」を観て、「あ、すげえ、こんなのやりてぇ」と思って。まず、「どついたるねん」のリミックスをつくって、サウンドクラウドに上げたら、新宿ロフトの方が聴いてくれて。それで、「僕もそういうのやりたいんです」って言ったら「じゃあ、次のイベントに出てみる? 何をやってみてもいいよ」って。じゃあ、バンドを組もうって思って、メンバーを呼んでやってみたら、すごい盛り上がったんです。
◆最初のライブでは、歌舞伎町に捨てられた
――ステージを拝見して、フロアを煽るというか、降りて行って、盛り上がらねぇならこっちが盛り上げるぞ、みたいなスタイルが衝撃的でした。「なにかすごい初期衝動を俺たちは観ている!」という話になって。で、初期衝動と言えばSEKIさんが服を脱がされていたのも面白いなと思っていまして。でも、きっと脱ぐことがお約束になっちゃうとつまらなくなるんですよね。
SEKI:いや、もうだいぶお約束になっているかも……(笑)。
――え!? そうなんですか?
CHACCA:お客さんが上がってきて脱がしちゃったり。リフトされている間に脱がせたり。
mmeegg!!:そう、脱がしちゃうんです。
SEKI:気付いたら裸っていう。
――じゃあ、脱がされるようになったきっかけは?
SEKI:いや、もう一番最初にまず脱がされて。(新宿)ロフトだったんですけど、イベントの間ずっと担がれて移動させられて、俺、最終的に歌舞伎町に捨てられましたからね(笑)。で、キャッチのお兄さんとかも「なんですか」って。
――裸のヤツがロフトから出てきたら、そりゃ驚きますよね。
SEKI:しかも、そのとき俺、髪の毛が緑で。うわーみたいな(笑)。
◆「ライブ中におしっこを漏らしたい」というメール
――ユキちゃんが亀甲縛り姿になってしまうというのも衝撃的だったんですけど、あれもどういったきっかけで?
SEKI:まず、一番最初にいたメンバーですごいインパクトのある女のコがいたんです。アメリカの国旗のハイレグ着て、ライダースに革の手袋にブーツみたいな。もう、めちゃめちゃやっていた女のコがいたんですけど、最初のライブを機に連絡が取れなくなるという事態に陥って(笑)。
――え、1回だけ?
SEKI:1回だけ。そいつは昔からの付き合いだったんですけど、それ以来、未だに連絡が取れないですね。あいつの一発目のインパクトがすごかったから、とりあえず女を入れよう、と(笑)。で、ユキちゃんは前から俺がネットとかで上げている曲を聴いてくれていて、「すごくいいです」って言ってくれていたんですよ。たまたま行ったイベントにユキちゃんがいたんで「入る?」って聞いたら、「入ります! やらせてください!」って。じゃあ、次にライブをするときにどういう格好で出ようかって言っていたら、あいつから来たのが「私、できたらでいいんですけど、上はニプレスはして、下はオムツを履いて、ライブ中に絶頂に達しておしっこを漏らしたい」っていうメールが送られてきて(笑)。
――おやおやおや?
SEKI:これはすげえいいヤツ入ったぞ!って。で、結果、1回目のライブではニプレスなんて汗で取れて、ブリンって(笑)。
◆NDGに集う人々
――春太郎さんはSEKIさんとはどう出会ったんですか?
春太郎: まず、SEKIくんとずっと前から友達で。専門学校のときに始めて知り合いました。ちょうど、僕がパンクに目覚めた頃だったんですね。
SEKI:「マジこいつすげーな」って思ったのは、完全にパンクとオタクがミックスしちゃってて、綾波レイが超デカくプリントされたTシャツがビリビリになっていて、安全ピンとかめっちゃついているのを着ていたっていう(笑)。
春太郎:プリントされている綾波の鼻のところに安全ピンを繋いでつけていましたね。
SEKI:とんでもないヤツがいるな、っていうのがやっぱ最初のイメージでしたよね。あと、春太郎は本当に、ダントツに声がいいし、やっぱり面白いんですよね。よく昔から遊んでいるときとかも、本当に暇なときとか「モノマネ100連発やって」とか言うと本当にやってくれますもん。しかも、ただの言葉の響きだけでやり続ける「ハリウッドスター100選」とか。
――でも、SEKIさんのようにアグレッシブに見える方とオタクの春太郎さんが友達になるっていうのも面白いですよね。
SEKI:いや、俺もけっこうアニメとか好きで。ていうか、そんなに好きじゃなかったんですけど、春太郎にいっぱい観せてもらって。最高ですよ。こいつの家に行くとプロジェクターがあって『プリキュア』の映画とか、観させられるんじゃないですけど、ずっと観たりして。
CHACCA:だから私、プリキュアって言われるんですよ。衣装がプリキュアっぽいって言われたことがあって。私的には『ドラゴンボール』なんですけど。プリキュアは世代じゃない。
SEKI:あと、『ガンダム』のDVDをファーストからね、『ZZ』ぐらいまで全部貸してくれて、それで『ガンダム』にめちゃめちゃハマったし。
――では、福山さんはどういうきっかけで加入されたんですか? SAXを入れたいというような話があったんですか?
福山:僕が入りたいって言ったんですよ。
SEKI:こいつはもうすごい古くからの知り合いで。高校生ぐらいからの。
福山:で、音楽はずっとやっていたんですけど、バンドとしての接点はまったくなくて。友人というか、そのままずっと。
――で、ライブをご覧になったんですね。
福山:そうですね。やっぱり僕、生音が好きで、僕には生音の要素しかないので、NDGにはそれを入れたほうが絶対にいいなって思って、それで「入れさせてくれ」って頭を下げて。
――CHACCAさんは?
CHACCA:私は別のHIP-HOPのクルーで、最初は「近所のメンバー」っていうのでたまにやっていて、そのあと「ラップブレインズ」っていう人たちのライブで踊っていたら、(NDGの)ラッパーの野村くんが声を掛けてきて、「ネイチャーでもやらない?」みたいな感じになって「やります」みたいな。
――バンドの形としては、もうどんどんどんどん増えていくよ、という方向性で?
SEKI:そうですね。
mmeegg!!:面白いヤツはもう全員来いよ、っていう感じですね。
――面白ければなんでもいい?
SEKI:そうそう、なんでもいいんです。
――あと、スタジオにほぼ入らない、とおっしゃっていましたよね。
SEKI:まず、めんどくさいじゃないですか(笑)。
――(笑)。カネもかかりますし、これだけ人数が多いと予定を合わせるのも大変でしょうからね。
SEKI:とりあえず、トラックはできているんで、あとは個人でやりゃあいいわけですよ。個人で練習してきて、本番やって、「なんかダメだな」って自分で思えなきゃダメだと思っているんで(笑)。それを自分で直せるぐらいじゃないと。とにかく面倒くさいことだけは排除していきたかったんですよ。
――でも、NDGのライブは生で音を合わせるのは大変そうですね。
福山:大変ですよ(笑)。
――じゃあ、「お前、今日からNDGのメンバーな」ってなったら、初めて合わせるのはライブのとき?
SEKI:いや、さすがに一応、一回ぐらいはやりますよ。
――ダンスに関しては指示はあるんですか?
CHACCA:あんまないけど、本番中に「CHACCAちゃん、ここ登ったほうがいいよ」とか、あと、「その服貸して」とか(笑)。そういう感じですね。
SEKI:ダンサーも面白いな、と思ったことはポンポンやってくれるんで。
――じゃあ、わりと民主的なバンド経営なんですね。SEKIさんがバーンと構えているわけではなくて。
SEKI:いや、わりと構えてますけどね(笑)。ただ、みんな意見を言ってくれたりするから。CHACCAちゃんとか結構、言ってくれるんで。
CHACCA:「あれやりたい、これやりたい」って。
SEKI:「あー、いいよ、いいよ」って。やっぱり、面白かったら、もうなんでもいいんで。
取材・文/織田曜一郎(本誌) 撮影/難波雄史・山田耕司(本誌)
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