高級会員制クラブの実態って?
「1%の人が99%の富を独占している」。米国のウォール街から発祥し、世界1400都市以上に広がっている格差反対運動。この動きは日本にも波及しているが、ではその「1%の富裕層」はどんなライフスタイルを送っているのか? その謎の一端を解くべく、都内某所にある会員制高級プライベートクラブへと向かった。
平日夜。専用エレベーターでエントランスへと直行。高層ビルの1フロアを占めるクラブスペースには和洋中の高級レストランが入り、どの席からも東京の夜景を一望できる。
記者が訪れたのはバーラウンジ。VIPにありがちな「密会感」を満たすためか、照明は暗くおとされ、中央の書棚には誰が読むのかわからない大判の洋書が収められている。
招待してくれたのは若手実業家のM氏(36歳)。5年前に起業した会社の年商は20億円。接待用(というか税金対策のため)に利用したいということで2年前に同クラブに入会した。
「第一希望だったプライベートクラブは審査が通らなかったんですよ。収入証明や通帳を見せて、最低金融資産額は余裕でクリアーしてたのですが、会社のネームバリューや、家柄なんかの基準に達していなかったみたいで(笑)。資産形成の経緯や、会社の経営状態を詳細に聞かれて銀行並にチェックが厳しかったですね。まあ、面接のときに何度か内見させてもらったら、ちょっと毛並みが違うって印象は受けましたよ。昼間見に行ったとき、会員の奥様らしきセレブ妻たちが集まって、紅茶を飲みながらブリッジに興じていたのにはタマげました(笑)」
「イギリスの貴族か?」とツッみたくなるような光景だが、その点このクラブは『カネを払えば面倒な審査はいらない』ってところが気に入りました。上品かどうかってことでは疑問ですけどね」とM氏は続ける。
確かにフロアを見渡してみると、窓際のテーブル席では、俳優の白竜を彷彿とさせる色メガネ&オールバックの男がガッハハと高笑いをし、バーカウンターではEXILEのATSUSHIのような色黒・スーツ姿の輩が、高級キャバクラ嬢と思われる盛り髪の美女を口説いている。しばらく眺めていると、上下黒ジャージの若者が足早に白竜のテーブルにやってきて、こっそりと耳打ち→白竜に頭を小突かれて、何かしらの怒声を浴びて退散するシーンが展開される。
そう、とにかく客層が悪いのである。この薄暗い照明も、密会のためというよりヒットマン対策では? と勘ぐりたくなってしまう。
「いや、本職の人はそんなにいないんじゃないですかね。最近の成り上がり系の金持ちは、ああゆう格好してる人多いですから。とにかくこのラウンジにいると、いろんな人が集まってきて楽しいですよ。つい先日、同じ会員の若手社長数人で集まったときは、クラブ内のレストランからケータリングした料理を並べて、1本20万円もするシャンパンを1ダースくらい開けてました。近場のキャバクラからコンパニオンとして呼び寄せたホステスも合流してカオス状態でしたよ」
人は若くして勝ち組の味を知ると“輩”化するのか? デモのシュプレヒコールに「高級クラブを庶民にも開放しろ」の文言も追加してみてはどうだろうか?
取材・文/スギナミ
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