スポーツタイプの軽自動車は“マニアックなコンビニおにぎり”だ!【自動車評論家・清水草一】
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
’14年は、国内新車販売台数に占める軽自動車の割合が初めて4割を突破。台数としても軽自動車は過去最高を記録するなど、売れまくっているわけですが、クルマオタクからすれば、そんなのどうでもいい話。そう思っていたら、軽自動車業界にも異変が! わかりやすく、コンビニおにぎりに例えてみました。
清水草一=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆地産地消の珍品。日本だけの軽自動車はまるでコンビニおにぎりだ!
軽自動車のシェアが拡大を続けている。ついに4割超え!!と聞いても、我々クルマオタクとしてはまったくどうでもいいニュースだった。なんせ軽自動車には趣味性がゼロ!
どれもスバラシイがどれもほぼ同じで、定番コンビニおにぎりの食べ比べのようなものだったのである。コンビニの梅干しおにぎりを5社食べ比べてリポートせよ!と言われても、なかなかツライものがあろう。
が、ここにきて風向きは一変した。軽自動車にスポーツタイプが次々に現れているのだ。コンビニおにぎりに例えれば、これまでの定番に「もっちもち焼豚おこわ」みたいな変わり種が加わりつつある状況だ。
もちろんこういったマニアックなおにぎりは、最初からあったわけではない。コンビニおにぎり市場が恐ろしいほど拡大したからこそ、差別化を図るべく投入されているのである。軽スポーツもまたしかり!
順を追うと、まず昨年投入されたダイハツの新型コペン。コペンは’02年から10年にわたって販売されてきた軽スポーツの老舗だが、2年間の空白を経て新型の投入と相成った。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=844583
もともとカッコ重視の電動メタルトップを持つオープンカーで、新型は断然ボディのしっかり感が増しているが、フツーの軽をベースにしているので当然前輪駆動。軽自動車はエンジンの最高出力を64馬力以下に抑えるという自主規制があるため、別にパワフルでもなく、乗るとかなりフツーである。
コンビニおにぎりで言えば、海苔の代わりに竹の皮で巻いて、ちまき風にしてみました!と言った感じか。外装の樹脂部品を着せ替えられるので、ちまき風もおこわ風もあるけど味は同じです!という感じでもある。いずれにせよ、気分は大いに変わる。
続いて登場したのがスズキのアルトターボRS。これは、もともと超軽量なアルトをターボで重武装化したモデルで、唯一の4人乗りにつき実用性はダントツだ。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=844585
車体の軽さもダントツなため、加速に関してはこれが一番という隠れた実力派でもある。中身はフツーのアルト同様の前輪駆動ながら、CVTではなくセミATのAGSのみを採用したのもシブイ。シフトチェンジの際、少しガックンとなるのが気になる向きもあろうが、やはり段付きのギアはスポーティである。
コンビニおにぎりに例えれば、定番風ながらほかと差をつけた「こだわり米の椎茸昆布」といったところか。安心して食べられる逸品だ。
⇒【後編】「清水草一“軽のスーパーカー”S660を買う」に続く https://nikkan-spa.jp/844569
●コペンRobe
ミッションを7速CVT(179万8200円)と5MT(181万9800円)から選べるコペンRobe。着せ替えができるコペンXPLAYもあります
●アルトターボRS
ミッションはMTがなくセミATのみ。MTがないことを嘆く人もいますが、アルトターボRSのAGSは、いい感じです。129万3840円~
この連載の前回記事
ハッシュタグ