ホンダS660は“軽のスーパーカー”。クルマオタクも脱帽
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
’14年は、国内新車販売台数に占める軽自動車の割合が初めて4割を突破。台数としても軽自動車は過去最高を記録するなど、売れまくっているわけですが、クルマオタクからすれば、そんなのどうでもいい話。そう思っていたら、軽自動車業界にも異変が! わかりやすく、コンビニおにぎりに例えてみました。
清水草一=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆地産地消の珍品。日本だけの軽自動車はまるでコンビニおにぎりだ!
前編(https://nikkan-spa.jp/844568)では、ダイハツの新型コペンを海苔の代わりに竹の皮で巻いてた「ちまき風」、スズキのアルトターボRSは定番風ながらほかと差をつけた「こだわり米の椎茸昆布」と例えました。
そしてホンダのS660。これには度肝を抜かれた。まさか軽でここまでやるとは! これって完全にスーパーカーじゃないか!
スーパーカー顔負けの本格的なミッドシップレイアウト、盤石の剛性を誇るシャーシ。そこから繰り出される本物のスーパーカーと変わらないコーナリング速度は、完全に軽自動車の枠を超えている。
でもエンジンは660ccの64馬力のままなので、加速はまんま軽自動車。軽の加速にスーパーカーのコーナリング性能というとんでもない組み合わせは、コンビニおにぎりで言えば「かにいくら飯」といったところか?
不肖ワタクシ、当コラム新春放談にて、「今年の目標はクルマを買わないこと!」と宣言していた。なんせここ20年間で、合計35台もクルマを買ってしまっている。このままではアホになる。たまにはクルマを買わないほうが新鮮かも!と思ったのだ。
しかし、このS660にはクルマオタクとして完全に脱帽。注文させていただきました。納車は年末くらいだそうです。喜んで待たせていただきます。こんな凄いクルマが出たのに買わないのはアホ! 人生の損失だ。
先日のマツダ・ロードスターやCX-3を含め、このところの国産車の豊作ぶりは凄まじい。なかでも軽スポーツは日本でしか乗れない地産地消の珍品だ。海外のクルマオタクはさぞ悔しがっていることだろう。ザマーミロ! あ~日本人に生まれてよかった~。
【結論】
コペンが女性向き、アルトターボRSがネクラマニア向き、S660がスーパーカーブーマー向きと、この3台はどれも個性が際立った力作だ。将来、法律で「軽自動車以外は所有禁止!」になっても、もうマニアは困りません
●S660
グレードはα(218万円)とβ(198万円)の2つで、ミッションはどちらも6MTかCVT+パドルシフトから選べます。660台限定の特別限定車「S660 CONCEPT EDITION」(238万円)は抽選で外れました ―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
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