新年度早々お疲れのビジネスマンに効くエナジードリンク・栄養ドリンクは?

 4月から新年度が始まり心機一転、異動先の新たな職場でやる気満々のビジネスマンも多いだろう。一方で、新たな人間関係、慣れない業務や引き継いだ顧客への挨拶回り、新入社員の教育、新プロジェクトの立ち上げなどで、何かとストレスのかかる時期でもある。さらに、花見や歓送迎会など、酒を飲む機会も多く、食生活や生活習慣も乱れがちだ。  そんな時についつい手が伸びてしまうのが、エナジードリンクや栄養ドリンク。コンビニやドラッグストアには、多種多様なドリンクがズラーッと並んでいる。さて、今日はどれを飲もうか?  ところで私たちは、何を基準にドリンクを選んでいるのだろう? 成分? 味? CMイメージ? 価格? 果たして今の自分にピッタリの1本を選べているだろうか?  そこで、自分の目的や症状に合わせて、多種多様なエナジードリンク・栄養ドリンクの中から自分にピッタリの1本をどのように見つけたら良いのか? 医学・工学博士でNPO法人遺伝子栄養学研究所理事長を務める松永政司氏と管理栄養士でフードスペシャリストの深野真季子氏に教えてもらった。

左・松永政司氏(医学・工学博士、NPO法人遺伝子栄養学研究所理事長)/右・深野真季子氏(管理栄養士・フードスペシャリスト)

どの成分が何に効くのかを知る

松永:エナジードリンク・栄養ドリンクには、カフェイン、タウリン、アルギニン、ビタミン、生薬などさまざまな成分が含まれています。  では、いったいどの成分が私たちの体にどのように作用しているか、ごぞんじですか? たいていの方々は、カフェインは眠気覚まし、タウリンやアルギニンが多い方が元気になりそう、ビタミンは体の調子を整える、生薬は精力UP、といった認識ではないでしょうか。  私たちは、薬を飲む時に、まずは自分の症状を自覚して、その改善に有効な成分が含まれている薬を処方してもらいます。それと同じように、エナジードリンク・栄養ドリンクも、それぞれの成分の作用を知り、自分に必要な成分を多く含むドリンクを選んで飲めるようになれば、もっと効果が上がり、私たちの生活を有効にサポートしてくれるようになるでしょう。

疲れが抜けない時はBCAA、ビタミンB群、カフェイン

『どれ飲む?いつ飲む?エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』(育鵬社)

松永:我々が執筆した『どれ飲む? いつ飲む? エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』でも触れていますが、身体に疲れがたまって抜けない時に効果が期待できる成分は、BCAAビタミンB群カフェインです。  BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンというアミノ酸のことですが、これらのアミノ酸は体の中で作ることができないため、食事など外からの摂取が必要な「必須アミノ酸」に分類されています。BCAAは非常に吸収が速く、疲労回復にとても効果的です。アスリートなども疲労回復のために摂取している栄養素でもあります。ぜひ、BCAAが含まれている栄養ドリンクを選びたいところです。  また、ビタミンB群は糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変換するために必要なビタミンです。食事から吸収した栄養素を効率よくエネルギーに変えてくれます。  カフェインは、直接的に疲労を回復させる作用はありませんが、脳神経を興奮させることで眠気を防ぎ、疲労感を解消する働きがあります。また、脂肪分解酵素の活性を高める作用もあり、運動前にカフェインを摂ると効率よく脂肪が燃えるので、日中のパフォーマンスを向上させることができるとも言われています。  エナジードリンク・栄養ドリンクを選ぶ時は、これらの成分がどれくらい含まれているかを目安に選ぶとよいでしょう。

ただし、カフェインの摂り過ぎは要注意

深野:ただし、カフェインは過剰に摂取すると危険です。カフェインの過剰摂取による死亡例もあります。日本の場合、医薬部外品の栄養ドリンクにはカフェイン量の制限が規定されていますが、エナジードリンクは清涼飲料水のため、規定がありません。欧州食品安全機関(EFSA)などでは、健康な成人でも1日に400㎎程度までに抑える必要があるとしています。未成年者や妊娠中の女性であれば、その半分の200㎎程度までに抑えてください。

アルコールとカフェインを同時に摂取するのも避けましょう

深野:また、最近では、バーや居酒屋で、エナジードリンクで作るカクテルは定番になってきていますが、エナジードリンクで割ったアルコール類は、アルコールの吸収量が多くなるため、他のドリンクに比べ血中アルコール濃度を高めるということが明らかになっています。お酒で割って飲む場合は「量」に気をつけましょう。  さらに、エナジードリンクに含まれるカフェインの覚醒作用によって、アルコールを感じにくくなり、お酒を飲み過ぎてしまう可能性があります。米国では、食品医薬品局(FDA)が2010年に、カフェインを添加したアルコール飲料を販売する企業に対し、カフェインは「安全でない食品添加物」であると警告しています。アルコール飲料にカフェインを加えることは一般的に安全と認識されておらず、アルコールとカフェインの同時摂取は、カフェインが飲酒の酔いを自覚するいくつかの感覚を鈍らせ、急性アルコール中毒の危険も高まるとのことです。また、消費者保護団体や科学者グループは、アルコール飲料にカフェインなど刺激物を混合すると、酔いの感覚が隠され、自動車運転などで無謀な行動をとる恐れがあると以前から警告していました。  医薬系の栄養ドリンクを飲む場合は、決められた用法・用量を守りましょう。また、エナジードリンクの場合も摂取量に十分注意し、効果的に摂取しましょう。 <取材・文/日刊SPA!プラス編集部> 【松永政司(まつなが・まさじ)】 NPO法人遺伝子栄養学研究所理事長 昭和19(1944)年北海道生まれ。北海道大学、京都大学卒。京都大学工学博士。昭和大学医学博士。第7の栄養素といわれる食品素材としての核酸(サケ白子DNA、ビール酵母RNA)の研究開発・普及に務め、日本病態栄養学会、国際DNA・ゲノム会議(大連)などで核酸の栄養医学に関する特別講演を行う。著書に『核酸が健康寿命を伸ばす』(致知出版社)、『最新版 遺伝子栄養学』(共著、東急エージェンシー)など多数。最新刊は『どれ飲む?いつ飲む?エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』(共著、育鵬社) 【深野真季子(ふかの・まきこ)】 管理栄養士・フードスペシャリスト 平成2(1990)年、北海道生まれ。藤女子大学人間生活学部食物栄養学科卒。栄養学を専門に学び、管理栄養士・フードスペシャリストの資格を取得。清涼飲料メーカーで法人営業を経験した後、北海道産機能性食品開発推進コーディネーターを経て、現在はNPO法人遺伝子栄養学研究所管理栄養士。公益財団法人北海道科学技術総合支援センター(略称ノーステック財団)での講演など、食の機能性に関する啓発活動を行っている。最新刊は『どれ飲む?いつ飲む?エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』(共著、育鵬社)
どれ飲む?いつ飲む?エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて

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