日本人とは何か(第2回)

大湯環状列石(秋田県)縮小

大湯ストーンサークル(秋田県)

日本に一貫する「円の思想」

 今回も前回に続き、武光誠・著『日本人なら知っておきたい日本』(育鵬社刊)で提唱された「円の思想」について取り上げる。    以下もまた、前回同様、モスクワ在住国際関係アナリストの北野幸伯氏のメールマガジン『ロシア政治経済ジャーナル』「日本の『円の思想』が、世界を救う?」(1830号・2018年9月3日)からの転載である。

円の思想と神道

 さて、「円の思想」は、その後「神道」に進化していったそうです。  〈大和朝廷のもとで、「円の思想」は神道へと発展する。極めて古い時代に生まれたこの神道的発想は、今でも日本人の思考の底に受け継がれていると考えてよい。日本人は近年まで、自然の豊かな山や原野、海、川などには神様が住むと考え、そこの自然を荒らさないように努めてきた。  自然は、人間の力で克服するものではなく、あるがままの自然を受け入れてその恵みをもらうのが良いとされてきたのだ。〉    〈一方が正しくて、もう一方が誤りだとする考え方は、日本にはなじまなかった。そのため知識人の多くは江戸時代の終わり頃まで、  「私と違う立場をとる者も、退けずに上手に交流していこう」  とする発想をとった。私と違う立場の人間にも何か良い部分があるとして、相手を尊重したのだ。  このような形で自然と人間を大切にしてきた日本人は、「つまらない争い事はどちらのためにもならない」と考える。〉  (〈 〉内は『日本人なら知っておきたい日本』からの引用)  嗚呼。  ここに、私の長年の疑問への答えがありました。  事件が起こった。  外国では即座に争いがはじまり、どちらが善なのか証明するために全力を尽くさなければならない。  ところが日本では、なぜか両方、「どうもすみませんでした」と詫びている。  そして、双方、円満解決を目指して話し合いが開始される。

円の思想が、世界を救う?

 こういうすばらしい国で育った日本人が外国に出る。  当然だまされることになるでしょう。  だから、「グローバル化の時代。日本人もしっかり自己主張しましょう」となる。  ホントにそうだと思います。  一方で、「人生は戦いだ」という外国の価値観と、「両者の主張の違いともかく、仲よくやっていきましょう」という日本の価値観。  「どっちが幸せか?」といえば、絶対日本の価値観の方がしあわせだと思います。  たとえば今、世界には「自己主張の強いリーダー」が目立っています。  筆頭は、トランプさんでしょう。  その次は、プーチンさんでしょう。  習近平は、「孫子教徒」なのでもっと巧みですが、それでも  「中国の夢」「南シナ海は、大昔から全部中国のもの」などといっています。  世界では、争いが絶えず、心配、不安、恐怖などが満ちている。  もし、世界に日本の「円の思想」がひろまれば、どうなるでしょうか?  キリスト教とイスラム教の争いは、なくなるでしょう。  キリスト教とユダヤ教の争いは、なくなるでしょう。  ユダヤ教とイスラム教の争いは、なくなるでしょう。  他国の領土を奪おうとする試みは、なくなるでしょう。  私は、いつも思います。  「あまりに善良な日本人が、世界の過酷なルールを知ることは不可欠だ」と。  その一方で、「日本が世界化するのではなく、世界が日本化すれば、平和が訪れるのに・・・・」と。  皆さんは、どう思われますか?  どんな世界を孫たちに残したいですか?  私は「円の思想」がひろがった世界を残したいと思います。  (以上『ロシア政治経済ジャーナル』より)    いまなぜ、私たちが「縄文」に惹かれるのか?    北野氏も触れているように、  私たち日本人の中には、「縄文」の昔から一貫する「円の思想」があるから、  というのが、武光氏の著作からの、一つの回答であるように思われる。  一方、「円の思想」とは、対極にある世界。  そこでは、日々「熾烈なだましあい」が行われている。  そうした「この世の実状」を知りたい方は、  北野幸伯・著『中国に勝つ 日本の大戦略』(育鵬社刊)    を一読いただきたい。  (文責:育鵬社編集部)
おすすめ記事
おすすめ記事