「ファミマの靴下」が異例の“2200万足”販売。海外進出も果たした“コンビニ衣料品”ヒットの裏側
コンビニと言えば、おにぎりやパン、サンドイッチ、お弁当、飲み物など、食品・飲料を買う機会が多いのではないだろうか。それ以外にも日用品や雑貨、文具など生活に必要なものは全て手に入る品揃えこそ、コンビニの魅力と言える。
一方で衣料品については、 これまで「コンビニでは売れない」とされてきた。
食品や日用品と異なり、衣料品は来店客の主な購買動機である手軽さ・便利さにそぐわず、どうしても「ついで買い」につながりにくいのが障壁となっていた。
その通説を覆したのがファミリーマートの「コンビニエンスウェア」だ。
2021年3月に全国展開を始めると、同社のコーポレートカラーである青と緑を配した「ラインソックス」がSNSで話題となり、コンビニ発のアパレルとして一躍有名になった。
コンビニエンスウェア開発の背景やその舞台裏について、株式会社ファミリーマート CW・雑貨部 CW・雑貨グループ須貝 健彦さんに話を聞いた。
ファミリーマートはコンビニエンスウェアを始める前から、インナーのTシャツや下着、靴下といった衣料品を扱っていた。だが、以前までは旅行や出張時などの「緊急需要」が中心で、「日常使いできる商品」としてのニーズは満たせていなかったという。
「インナー市場が1.5兆円規模もあるのに、コンビニの衣料品はそのシェアを取り切れていないのが課題に感じていました。私自身も中途でファミリーマートへ入社しましたが、入社以前は衣料品を売っていることに対して、あまり気にしたことすらなかったくらいです」
コンビニの中では日の目を浴びていなかった衣料品を、いかにして日常的に、長く使ってもらえる商品にできるか。「コンビニで衣料品を買う文化」の醸成を目指したのが、コンビニエンスウェアの開発背景だ。
一方、社内では、コンビニ全体の売り上げ比率が低い衣料品に注力することに対して懐疑的な声もあったが、ファミリーマートが「衣料品をコンビニで購入する」文化を作っていくことへの本気度は変わらなかった。
こうした新たな取り組みに挑戦する上では、自分たちだけでやるのではなく、ビジョンに賛同するパートナーが必要だった。そこで、声をかけたのがファッションブランド「ファセッタズム(FACETASM)」を手がけるデザイナーの落合宏理氏である。
「何よりもファミリーマートが挑む『コンビニで衣料品を買う文化』の醸成に、強く賛同していただいたのが落合さんでした」
コンビニエンスウェアのテスト販売は、関西の店舗で実施。販売店舗を徐々に拡大していき、2021年3月からは全国販売に踏み切った。
その直後、ファミリーマートを象徴する色のラインソックスがSNS上で“ファミマソックス”として話題となり、若者を中心に人気に火がついた。
注目されていなかったコンビニ衣料品にチャンスを見出す
ファセッタズム(FACETASM)落合宏理氏をデザイナーに起用
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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