現代日本の川辺文化のイノベーション: 北浜テラス4

「水都大阪2009」

「水都大阪2009」というイベントの時に、期間限定とはいえ、北浜での3店舗の「テラス」が河川区域内の空間に設置され、商用占有利用がなされることになった  その結果、徐々にテラスを持った店舗数は拡大していき、「北浜のブランドイメージ」それ自体が変わっていった。  そうなると、今度は既存の川沿いの店舗がテラスを出すだけではなく、「テラスが出せる」ということを理由に、この北浜に優良なカフェやレストランが出店していくようになっていった。  これはつまり経済学的にいうなら、北浜でテラスが出せる行政環境が整備されたことを通して、良質な民間投資が北浜で進められるようになった、ということである。

河川区域の「活用」に向けて柔軟化してきた「河川法」

 ただし、大阪府にこうした「柔軟」な対応ができた背景には、河川について定められていた「河川法」が近年改定されてきていた、という背景があった。  そもそも、敗戦直後の1947年(昭和22年)、戦後体制の中で新しく河川法が制定された時、その主たる目的は、「利水」(生活用水、工業用水、発電等に水を活用するの意)だった。  その後、洪水の頻発を受けて、1964年、「治水」(大雨等による洪水対策)に重点的に配慮する方向で改定された。  これらの時点で、国や県が持つ河川敷を商用利用する、という発想はなかったのだが、1997年には、「環境」問題に対する社会的な認識の深まりを背景として、河川の「環境」の整備や保全も重要な目的として河川を活用すべきであるという方向の法改正が加えられた。  この時の改定の際に、ようやく河川を「レジャー」で活用することを認める思想が河川法にはじめて導入された。そしてその後、その方向での法整備が進められていくようになる。  まず、1999年に「河川空間を占有利用することを許可する制度」(河川敷地占用許可準則)が作られた。  この時点ではまだ、河川敷地に民間の「レストラン」を作る制度は完備されていなかったが、その後、都市再生のために河川空間をより効果的に活用すべきであるという方針が明らかにされ(2002年)、その許可内容もより柔軟化していった(2004年)。  こうした流れの中で2005年、「社会実験」の形ではじめて、河川敷地内に飲食可能なテラスが作られることになる。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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