一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(10)
『これからも』
2020年6月2日発売、藤田麻衣子著『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる――願いが叶っていく58の気づき』(育鵬社)は、「オーケストラとともに歌を歌いたい」という夢を描き、20歳で上京した一人の女性シンガーソングライターが、夢を追い、叶えていく軌跡(奇跡)を綴ったエッセイである。 前回の「一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(9)」では、本書を題材に「自分の夢を叶えるためには、どうすればいいのか」ということに焦点を当てて、第三のキーワードとして「言葉の力」を挙げた。 「夢」を明確な言葉にし、それに向かって努力を続けていると、やがてその「夢」が実現していく、という「言葉の力」(言霊)を、藤田さんは自分でもそれと知らぬあいだに、体現していたのである。 そして、今回、第四のキーワードとして、「ご縁」ということを挙げてみたい。 後から考えてみると、あの時、あの人と会っていなかったら、今日の私はなかった、というような人との出会いが、誰にもあるに違いない。 しかし、出会うだけでは、その人との「ご縁」を十分に活かしたことにはならない。出会った後も、その人との関係を維持し、発展させていくことによって、「ご縁」は活かされるのであろう。 本書の中に、こんなところがある。 「バンドメンバーは、今では15年の付き合いになった彼女たちをはじめ、男性ミュージシャンも一緒に演奏してもう7~10年になります。いつも安心感と信頼感に包まれて歌っています。 マネージャーも10年。 プロデューサーも9年。 レーベルのディレクターも6年。 感謝しています。……」 一見、さらっとした文章だが、ここに藤田さんが「ご縁」というものを活かしている人だということが感じられる。 実際、15年の付き合いとして紹介されている、ピアノの山本清香さん、ヴァイオリンの沖増菜摘さん、チェロの島津由美さん(いずれも東京藝術大学卒の才媛)らは、藤田さんのライブでは、おなじみのメンバーだ。 藤田さんの歌を加えた四人の息の合った音楽は、時間を経る中で磨き上げられ、聴く者の心をつかんではなさない。 出会った時にさかのぼれば、当然、「まさか15年先も一緒に音楽をやっている大切な仲間になるとは」ということになるのだが、藤田さんは、本能的に「彼女たちとは10年経ってもきっとそれぞれが成長し続けて、同じ場所で一緒に音楽をしているような気がする」と感じるようになったという。 「ご縁」を育てていくこと、「ご縁」を育てていくことができる人であることも、「夢」の実現には欠かせないことのように思う。 (文:育鵬社編集部O)ハッシュタグ
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