詩人・里みちこの世界(5)
目白が届けた思いやり
鍵山秀三郎著『大きな努力で小さな成果を』(育鵬社)の編集を通じて、お便りをいただくようになった詩人・里みちこさんから、また、素敵な「詩はがき」が届いた。 「五十円切手」という作品だ。 五十円切手 メジロが一話止まっている 仲間といるから 「目白押し」というのに さびしくないか ひとりで小さな紙に のせられて 今日からお前に 「ひ鳥」という名をあげましょう ひ鳥はひとりで 愛のはがきを運んでいる 里さんの友人が、連れ合いを失くし、生きる気力を失ってしまった。 そのことを知った里さんは、毎日、いろいろなはがきに、いろいろな50円の記念切手を貼って(当時、はがきの郵便代は50円だった)「ではまたあした」と書いて出し続けた。 ある日のこと。 はがきを書いたものの、通常の50円切手しかない。 手持ちの記念切手の種類がなくなって、買いに行かなきゃ、と思っていたのに、 すっかり忘れていたという。 しまった、という思いで、その切手をじっと見ていたら、この詩が生まれたのだという。 それまで、里さんはその切手を、ただの鳥の絵ぐらいにしか見ていなかったという。 だが、その切手のおかげで、その日も自作の「詩はがき」を届けることができたのだ。 なぜかそれが届いた夜に、友人からは「元気になったからもういいよ」と電話があった、という。 「言葉の力」「人の心」の偉大さを知る。 里さんの詩に興味を持たれた方は、南天荘画廊 http://nantensogaro.com/satomichiko/ 電話078-851-6729にお問い合わせください。 (文:育鵬社編集部O)ハッシュタグ
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