詩人・里みちこの世界(6)

ないしあわせ(詩)

里みちこ作「ない しあわせ」(詩集『かけはし』より)

かけがえのないもの

 鍵山秀三郎著『大きな努力で小さな成果を』(育鵬社)の編集を通じて、お便りをいただくようになった詩人・里みちこさんの詩集に『かけはし』という作品がある。  その中から、二つの詩を紹介したい。   ない しあわせ   さりげない 一言   なにげない ふれあい   とりとめのない 会話   かけがえのない ひととき   なんともいえない   ない しあわせ   いま ここで あなたと   たったひとりで生まれてきて   たったひとりで去ってゆく   その同じ運命(さだめ)を背負った   あなたとわたしが   いまここで出会うという   ふしぎさ   今日はほほえみあえるという   うれしさ   そう思うと目をあげて   まっすぐあなたに向いたくなる   「ありがとう」や   「ごめんなさい」が   素直に言えそうな気がしてくる   まなざしが優しくなり   見慣れたみどりのいのちが   鮮やかにみえてくる   あなたのいのち   わたしのいのち   あともどりできない   今日一日のいのちを   慈しんで   おくりたい  コロナ禍で、会いたい家族とも会えずに、このお盆を、夏を、過ごした方も多くおられることと思う。    当たり前と思っていたことが、かけがえのないものだったことに、気づいた夏だったのかもしれない。  里さんの詩に興味を持たれた方は、南天荘画廊 http://nantensogaro.com/satomichiko/ 電話078-851-6729にお問い合わせください。 (文:育鵬社編集部O)
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