地方再生の街路イノベーション:「クルマ車線」を削って賑わう京都・四条通5

「四条通の歩道拡幅」による混乱は一時期だけ

 実際、工事が終わった2015年の10月からは今日に至るまで、バスの運行時間は、例年と何ら変わらない水準に落ち着く結果となっている。  しかも、渋滞が危惧された同じ年の秋の連休でも、目立った混雑は確認されていない。  つまり「四条通の歩道拡幅」による混乱は一時期だけだったのであり、それ以外は特に大きな混乱はみられていないのが実態なのである。

なぜ、大都市の都心の主要道路の車線を「半分」に削ったのに、混乱しなかったのか?

 では一体なぜ、四条通は、京都市という大都市の主要幹線道路の車線を「半分」にするという荒療治を行ったにもかかわらず、定常的な激しい混雑は起きなかったのだろうか?  一つには、この花見シーズンの混雑の反省から、はじめての観光客にも四条通は車線が一つしかなくなったという情報を、道路上の掲示板やサインなどを使って広報するようになったことや、バス停の位置や、料金収受システムを工夫して渋滞が起きにくくするようにした、等の対策が功を奏したという側面がある。  しかし、より重要なことは、マスコミの少々過剰とも言える煽り記事の「おかげ」もあり、四条通は混雑しているからできるだけ避けた方が良い、というイメージが定着したということが、最大の要因だ。  実際、四条通の道路車線が削られた区間の交通量は、工事前に比べて4割前後(37~41%)も減少している。  なお、四条通の周辺の幹線道路(御池通、五条通、烏丸通、河原町通等)における交通量も、1割から2割程度減少していることも確認されている。  そして、四条通に接続している周辺の細い道路における交通量も1~5割程度減少していることも合わせて示されている。  つまり四条通を迂回して周辺の道路にクルマが流れ、周辺が混雑している、という現象が起きているわけでもないのである。  これらの結果は、四条通周辺の交通量が、かつてよりも縮小したことを意味している。  結果、道路の幅は狭くなったが、交通量が少なくなったおかげで、渋滞は起こらず、速度もおおよそ以前と同程度の水準に保持されることとなったのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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