『大きな努力で小さな成果を』について(10)
鍵山秀三郎語録 その5
イエローハット創業者で、「日本を美しくする会」相談役の鍵山秀三郎先生の著作『大きな努力で小さな成果を』(育鵬社)は、その骨太な内容が多くの読者の心をつかんでいる。 今回は、『大きな努力で小さな成果を』について(9)に続き、本書の中から、編集担当として心に残った言葉を選び、紹介したい。「鍵山秀三郎語録 その5」である。 今の世の中、点数至上主義、利益至上主義というか、すべてをそのような物差しで見ようとします。人を押し退けてでも、濡れ手で粟をつかむことでも、何かをつかんだほうが勝ちだという風潮になっていますが、これでは世の中がよくなるはずがありません。 世の中をよくしていくには、人を育てるうえで、目立たない小さなことに対する努力に目を向け、評価してあげるという視点が必要なのではないでしょうか。(第四章 日本について 「飯の糧にならないことは、心の糧になっていく」より) 利益率だ、対前年比だと、数字だけで企業を評価するだけでは企業はよくなりません。弱い者をいじめ、利益さえ上げていけばいいという社風をつくります。(第四章 日本について 「飯の糧にならないことは、心の糧になっていく」より) 「その人の持っている尺度そのものがその人の人格を表す」とは、私の持論です。人格者はいろいろな尺度を持って人を見ます。それと同じく、会社も人間もいろいろな尺度を持って評価していく必要があると私は思っています。いろいろな物差しが持てたときに幅の広い人間になるし、企業も本当の意味で存在価値が出てくるからです。(第四章 日本について 「飯の糧にならないことは、心の糧になっていく」より) 心の糧、それはすぐには結果として表れてきませんが、それを大事にしなければ人を育てようとしてもなかなか育ちません。あの手この手でいろいろな技法を教えても、それだけでは人は育たないのです。技法も知識も大切ですが、それを実行できなければ役に立ちません。それを実行する力は、心の糧から生まれてくるのです。(第四章 日本について 「飯の糧にならないことは、心の糧になっていく」より) 過去を振り返ってみると、ある教えがいつも頭に浮かびます。 「十年偉大なり、二十年おそるべし、三十年にして歴史なる」 という教えです。これは残念ながら出典がわからなくて、どう調べても誰の言葉かはわからないのですが、中国から伝わってきた教えであることは間違いないようです。 事業も掃除も、その途中で、はかない思い、あるいはむなしい思いに襲われて、いやだな、やめようかなと思ったこともありますが、やめませんでした。たいていの人は、むなしい思い、はかない思いに襲われると、いやだな、やめようかと思ったとたんにやめてしまいます。しかし、私はやめませんでした。 なぜやめなかったのかと言いますと、昨日までの努力が、捨てるには惜しいほどの努力だったからです。もし私がいい加減にやってきたことであるならば、とっくにやめていたと思いますが、これほど自分が心を込めてやってきたことは、捨てるには惜しいと思ったのです。それで来る日も来る日も続けてきたのです。 ですから、何事も継続をしようと思うなら、未熟であっても拙いことであっても、自分の心を込めてやり続ける、これが継続の一番のエネルギーになると思います。(第四章 日本について 「心あるところに宝あり」より) (文責:育鵬社編集部O)ハッシュタグ
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