地方再生の街路イノベーション:「クルマ車線」を削って賑わう京都・四条通7

「車線を削っても混乱しない」という四条通の結果は、世界中で見られる極めて一般的なもの

 ところで、この四条通の「車線を削っても混乱しない」という例は、単なる一事例だが、こうした事例は、世界中で見られる普遍的なものなのであることを、ここで強調しておきたい。  筆者も参画して行った国際共同研究では、日本、ドイツ、アメリカ、イギリスなどの12の国の60以上の「車線の削減」事例を集め、分析を行った。  その結果、おおよそどこの場所でも「車線の削減」が行われれば、「大渋滞」「大混乱」が起こるだろうと事前に危惧されていた一方、実際には、ほとんどのケースで、事前に危惧されたほどの混乱は見られなかった、という実態が明らかとなった。  というよりもむしろ、「大規模で長期的で重大な混乱」が報告された事例は、結局は一つもなかったのである。  つまり、京都市の四条通の事例のように、一時的、短期的な混乱が生ずる例は一部あったとしても(それすらほとんどなかったという)、そうした一時的混乱はすぐに落ち着いて、大規模な混乱は消滅していったのであった。  その理由は至って簡単なものだ。  車線が削られれば、おおよそすべてのケースにおいて、その削られた車線に見合う程度にまで、交通量が「消滅」していき、深刻な混雑がなくなっていくのである。  これらのケース全体の平均で見れば、道路の車線が削られた後、そのエリア全体の交通量が、平均で25%(中央値にして14%)縮小したという。  つまり、車線削減による「消滅交通」は、過去の網羅的な事例平均で、平均的におおよそ14 ~25%だということになる。  なお、個々のケースに着目すると、車線が削減されたにもかかわらず、交通量が増えている事例、というのも一部見られているのだが(60ケース中7ケース)、そうした事例は、基本的にそもそも渋滞のなかったエリアでのものだった。  だから経済や都市の成長の影響等を受けて、事後の時点での交通量が増加したものの、それでも余裕があったため、深刻な混雑は起きなかったのである。  つまり、車線削減と歩道拡幅は、多くの関係者が渋滞を危惧するのだが、それは単なる杞き 憂ゆうに過ぎず、実際にはそんな混乱は起きないというケースが大半なのである。  まさに案ずるより産むが易やすしなのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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