食産業インフラ・イノベーションが日本を救う2

「食料自給率」の向上は、平時における「経済成長」のためにも不可欠

 ただし、そんな「有事」が仮に永遠に訪れないとしても、食料自給率はやはり向上させねばならない。そこには純粋に「マクロ経済学的な理由」があるからだ。  そもそも国民が生きていくためには、所得が必要であり、そのための産業が不可欠だ。そして、産業が成立するためには「需要」が必要だ。  しかし、「需要」は無尽蔵にはない。人間は食料を無限に食べ続けることができないし、クルマを何百台も買い続けることもできない。  かくして私たち国民は、「限られた需要」を効果的に「活用」しながら、調和ある「産業」を保護・育成し、十分な「雇用」と「所得」を効果的に創出し、維持していくことができてはじめて、幸せに生きていくことが可能となるのである(しかもそれは、さらに「需要」を拡大するというポジティブなフィードバック効果をもたらすものでもある)。  つまり、人間という生物は、「限られた需要」を「エサ」として、皆で分け合いながら細々と生きていく集合動物のような存在なのである。  こう考えたとき、「需要」というものは、国民が生きていくうえでの貴重な「資源」だという実態が浮かび上がる。  そしてそんな貴重な「需要」の中でも、とりわけ本源的なものこそ「食料需要」なのだ。人間はもちろん、何かを食べていかなければ生きていけないのだから、日本には日本人の数  育成、雇用と所得の創出にとって極めて「貴重な資源」なのである。  ところが、食料自給率を低いまま維持し続けるということは、この貴重な「食料需要という資源」を、さながらドブに捨て続けるような話なのだ。  せっかくその貴重な資源を使って日本国民の雇用や所得を提供することができるのに、それを活用せずに外国人たちに「くれてやっている」のである。  そもそも、わが国は「需要不足」ゆえの「デフレ不況」にこの20年間苦しめられ続けている。  だからデフレ脱却のためには、需要創出が是が非でも求められているのであり、それこそ、いわゆる「アベノミクス」が今、取り組もうとしている内容だ。  そうである以上、食料自給率の「向上」もまた、アベノミクスの成長戦略の一環に組み込むべきものなのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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