地域イノベーションを導く「リアル・どこでもドア」:高速道路のストック効果2

「高速道路」は現代版の「リアル・どこでもドア」である

「圏央道」という道路は、東京を大きく取り囲む、総延長約300kmにも及ぶ日本最大の「環状道路」だ。  だから、埼玉県・川島町の「川島インターチェンジ」周辺の何の変哲もない日本中どこにでもある片田舎の田園地帯が、「リアル・どこでもドア」である圏央道によって、わずか10年足らずの間に、広大な「産業団地」へと大きく変貌したのである。  その「川島インター産業団地」は47ha、 東京ドームにして約10個分の広さだ。この産業団地には、数々の工場や物流センターが立地しており、多くの経済活動と雇用を生み出している。  例えば、物流施設の統計によれば、従業員は(平成26年までの)5年間で約800人も増加している。そしてそれにあわせて、同町の法人住民税は約1億円、固定資産税(家屋)が約2億円増加する結果となっている。  つまり、この圏央道という高速道路インフラの「公共投資」は、その沿線エリアの「意味」を大きく組み替え、大きな「民間投資」を誘発し、それを通して地域の「雇用」を生み出し「経済」を活性化し、最終的に政府への税収を拡大させたのである。  これこそ、しばしば政府が言及する交通インフラの「ストック効果」(高速道路という資産=ストックがそこにあることで生じた、さまざまな効果)に他ならない。

高速道路は地域を根底から変える「地域イノベーション」を導く

 こうした大きな「民間投資」の誘発は、なにも首都圏においてのみ見られる現象でない。    名古屋を取り囲む延長約150kmの「東海環状自動車道」の土岐南多治見インターチェンジ(岐阜県土岐市)の、道路供用当時と供用後約10年の様子が大きな変化を遂げている。  同じく、大阪と京都を結ぶ「第二京阪道路」の京田辺インターチェンジ(京都府京田辺市)の、同じく道路供用直前と供用後約12年の様子も変化が著しい。  いずれも、道路供用がなされた時点ではほとんど何もなかったような土地が、供用から10年も経ればさまざまな商業施設や住宅についての民間投資が進められ、全く異なった土地へと変貌している。  つまり、かつては極めて限られた経済や社会についての人間活動しか行われていなかった土地が、道路が通って10年もすれば、さまざまな人が住んだり買い物をしたり、娯楽を楽しんだりといった実に多様な経済活動、社会活動が営まれる土地に変質したのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事