地域イノベーションを導く「リアル・どこでもドア」:高速道路のストック効果4

高速道路で「商業」も「工業」も大きく発展する

 同様のことが「工業」においても見られる。  先ほどと同様に日本全国の過去25年間の工業成長率を示している(製造品出荷額の成長率)を見てみる。ここからも、高速道路に近いところほど、工業成長率が高く、離れたところほど低い様子が読み取れるのだ。  そして、高速道路から遠いところ(30 分以上離れたところ)よりも、近いところ(30分以内で乗れるところ)の方が、工業の成長率は2倍前後にまで高くなっている様子が読み取れる。  これは要するに、高速道路がつくられれば、その沿線に工場の立地が進むことを示している。そもそも工場には、原材料を運び込むためにも、できあがった製品を運び出すためにも道路が必要不可欠だ。  そしてその工場の生産性を上げるためには、そんな物流のコストを最小化することが必要なのだから、当然、高速道路があるところの方がないところよりも工場を作るには有利なわけである。  しかも、工場の敷地の用地買収費を考えれば、土地の安い地方部で高速道路があるところは工場立地には得策となる。  こうした事情から、地方部に高速道路を作ることで、工場の立地が促進され、その地での工業成長率が高くなるのである。  つまり、圏央道や東海環状自動車道、第二京阪道路の周辺で確認できた「工場立地」や「商業立地」は、何も特殊な例外的現象なのではなく、全国各地で生じている当然の帰結だったのである。

高速道路の「偏り」が、過疎と過密の一極集中構造を生み出した

 1.日本全国の過去「25年」の間の「商業成長率(商業年間販売額の成長率)」や2.日本全国の過去25年間の工業成長率を示している(製造品出荷額の成長率)をよくよく眺めると、重大な「真実」が浮かび上がってくる。  まず、これら「高速道路のネットワーク」を見ていてまず目に付くのが、「日本海側」と「太平洋側」の高速道路の整備格差だ。  太平洋側の三大都市圏には、かなりの本数の高速道路が整備されている。そしてその道路沿線には、工業、商業が大きく成長している「赤い」エリアが散見されることが見て取れる。  ところが日本海側には、新潟・富山・金沢あたりにはかろうじて1本だけ高速道路があるが、その北側の秋田や山形あたりの海岸線には、高速道路がほとんど存在していない。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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