乳房の切除を決断させる『遺伝学的検査』と、消費者向けの『遺伝子検査』との違いとは?

 一般に大きく「遺伝子検査」が知られたのは、’13年にアンジェリーナ・ジョリーが乳がんの予防のため、健康な乳房を切除したことだろう。「そこまでわかるの?」「そこまでする?」と驚いた人も多いはず。

乳房の切除を決断させる『遺伝学的検査』と、消費者向けの『遺伝子検査』との違いとは? しかし、生活習慣病のリスクや適したダイエット方法などの遺伝的傾向を知る検査と、アンジェリーナ・ジョリーが受けた検査は別モノ。

 東京女子医科大学遺伝子医療センター所長の齋藤加代子氏も、「遺伝子検査といっても、消費者向けの『遺伝子検査』と医療現場で行う『遺伝学的検査』は区別して語られるべきものです」と解説する。

齋藤加代子氏

齋藤加代子氏

「医療現場での『遺伝学的検査』では、25~50%の確率で親から子供に伝わる筋ジストロフィー、ハンチントン病のように発症に関わる遺伝子や、遺伝する確率まで診断できる疾病を扱います。アンジェリーナ・ジョリーさんが予防的に切除した乳がんはたったひとつの遺伝子の変化が親から子へ伝わるという遺伝性で、遺伝学的検査で見つかったものです」

 さまざまな研究成果が上がる中で、診断の精度は上がり、医療分野では検査に保険が適応されるものも増えている。検査結果に応じて予防、治療ができる病気もある。

「一方で市販の検査キットで発症リスクを予測できる疾病は複数の遺伝子が関わるものが中心で、そこには生活習慣などの環境要因も影響します。そのため検査をしても、『前立腺がんになる可能性が日本人平均の1.3倍』というようなファジーな結果しか出せません。5倍ほどのレベルまで正確に診断できれば、立派な予防医療となりますが、現状では、その段階に達しているとは言い切れません」

⇒【資料】はコチラ(“遺伝子検査”でわかること)
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1111818


“遺伝子検査”でわかること

※東京女子医科大学附属遺伝医療センター齋藤加代子教授資料および各種事業者サイトから編集部が作成

 医療機関での遺伝学的検査は、「臨床遺伝専門医」や「認定遺伝カウンセラー」が、診断を受けるべきかどうかから、結果の説明、さらに診断を受けた後も相談に応じてくれるのも大きな違い。

「遺伝の確率が高い病気の検査は、患者さんの心にも相当な負担を強います。診断の結果によっては、『同じ遺伝子を持つ可能性のある家族に事実を伝えるか』という問題も生まれ、子供に遺伝子を渡したことに罪の意識を覚える人もいる。遺伝子情報を扱うことは細やかなケアが必要なものなんです」

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