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乳房の切除を決断させる『遺伝学的検査』と、消費者向けの『遺伝子検査』との違いとは?

 では、医療なり、サービスを受ける側に必要なことは何か? 行動遺伝学を専門とする慶應義塾大学の安藤寿康教授は、「遺伝子で本当の自分などわかりませんよ。ただし、遺伝子が影響を及ぼしているものも確実にある。その前提に立つこと。そして、遺伝子についての知識が必要」と指摘する。
安藤寿康氏

安藤寿康氏

「例えば、『133倍のリスク』と言われたとき、その人がどういう価値観を持っているかで変わります。コップに半分の水が入っているとき、『半分しかない』と思うのか、『半分もある』と思うのか。正しく読み解くことで、日常の健康を考えるきっかけになるはず」  今後さらに、人の持つ遺伝子に関して情報を受け取る場面が増えるのは間違いなさそう。お見合いの釣書に遺伝子情報が添えられ、就職試験に遺伝子検査が加わる……なんて、あまり気持ちよくない未来も想像できるが……。 「誤解や差別が生まれる可能性も確かにあります。しかし、人の能力や性質をばらつかせ、社会に多様性を生み出しているのも遺伝子。どんな遺伝的素因を持つ人も幸せに暮らせる社会のために、遺伝子リテラシーが重要になる」(安藤氏)  齋藤氏もまた、「健康な人でも皆、数十個の遺伝子の変異を持っています。変異を持って病気になる人もいれば、ならない人もいる。病気も多様性の幅のひとつ」と強調。  生まれ持ち、生涯にわたって変わらない遺伝子について、きちんと向き合う時を迎えているのかも。 【齋藤加代子氏】 遺伝医学教授。東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長・教授。専門は遺伝医学、遺伝子医療、小児科学、小児神経学。編著に『いまさら聞けない「遺伝医学」【別所直哉氏】 特定非営利活動法人個人遺伝情報取扱協議会理事長。消費者に提供する遺伝子検査サービスを対象にした国内初の認定制度を開始 【安藤寿康氏】 教育心理学教授。慶應義塾大学教授。専門は行動遺伝学、心理学。双生児法による遺伝と環境が認知能力やパーソナリティに及ぼす研究を行う。著書に『遺伝子の不都合な真実』 取材・文/石田恒二 加藤純平(ミドルマン) 藤村はるな 古澤誠一郎 赤地則人・鈴木靖子(本誌) ― [遺伝子検査]で“本当の自分”はわかるのか? ―
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