【橋下徹の革命性】脱原発と発送電分離
―[【橋下徹】革命性の真実]―
ダブル選挙で圧勝した「大阪維新の会」の橋下徹市長が本格的に動き始めた。「大阪都構想」ばかりが注目されているようだが、革新的な政策はそれだけではない。1月4日の年頭会見では野田首相の消費税増税案を「面白さも何もない」と酷評、若者優遇政策や脱原発&再生可能エネルギー促進など、国がなかなか行うことができない改革案を次々と発表している。そこで、橋下氏をよく知るキーマンを直撃、その「革命」の実態をリポートする。
◆市長のブレーン・古賀茂明氏が語る「国ができないことを大阪がやる」
「既得権益の破壊」を貫く橋下氏の周りには、元経産官僚・原英史氏、慶応大学の上山信一教授ら、各分野の改革派のエキスパートが集結。なかでも重要な役割を担うのが、大阪府市統合本部特別顧問として、脱原発や公務員制度改革を担当する元経産官僚の古賀茂明氏だ。官僚時代に公務員制度改革や発送電分離(電力自由化)に取り組んだ経験を買われての抜擢だった。その古賀氏に、橋下改革のポイントについて語ってもらった。
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橋下市長は関西電力の株主総会で「脱原発(原発依存度の引き下げ)」と「発送電分離に向けた体制整備」を提案し、再生可能エネルギーへの転換を進めようとしています。イデオロギーとしてではなく、大阪市民や企業の実利を守るためです。
福井県には関電の「美浜原発」「大飯原発」「高浜原発」などの原発が集中していますが、もし事故が起きれば、莫大な被害を地域社会に与え、琵琶湖が放射能で汚染される恐れもあります。関西圏の住民の命と安全に直結する問題なのです。また関電にとっても脱原発で、事故による企業破綻のリスクを減らしたほうがプラスです。
関電をはじめ電力会社は「脱原発はできません」と言っていますが、地域独占体制のもとで甘やかされた人たちの発言には、全く説得力がない。そこで9%の関電株を持つ、筆頭株主の大阪市が6月の株主総会で脱原発の提案をしようということになったのです。
◆関西広域連合で「第四の革命」を
ただし、堂々巡りになる可能性も高い。そこで、基礎的情報をまず公開してもらい、それをもとに脱原発の施策を3月頃までにまとめようと考えています。
提案を実現させるためには、大阪市以外の株主の賛同も欠かせません。そこで、関電の大株主である神戸市や京都市をはじめ、個人株主や機関投資家にも呼びかけたいと思っています。
また、世界的に進行している「第四の革命」(再生可能エネルギーへの転換)のうねりを関西圏に取り込みたいと考えています。滋賀県知事も脱原発に熱心で、関西広域連合として取り組んでいく。この地域には、パナソニックなど再生可能エネルギーに強い企業があります。今は関西圏から工場が出ていっていますが、脱原発依存が進んで再生可能エネルギーが拡大していけば、関連企業が育っていき、若者世代を含めた雇用も増えます。電力会社の地域独占という既得権を打破したところに、新たな成長分野が生まれてくるということです。
すでに「有識者チーム」が結成されていますが、さらに内外から公募して、電力改革を進める人材を集めたい。「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長ら、エネルギー問題に強い人に特別顧問就任をお願いしています。
【古賀茂明氏】
’80年に通産省(現経産省)に入省。産業再生機構執行役員や公務員制度改革推進本部事務局審議官などを歴任。改革派官僚として活躍したが、’11年9月に退職
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