職場に強い結束力を生む!? 日本企業“ポエム化”の実態

夢、仲間、絆、希望、笑顔、理想の自分――。口にするのが恥ずかしいような言葉を多用した、こうしたフレーズが日本社会に増殖している。そんな文章を近年“ポエム”と呼ぶ風潮がある。この現象、実は企業にも及んでいることをご存知だろうか。ブラック企業に限らず、“ポエムな言葉”が盛り込まれた社歌を歌いながら体操したり、社員に駅前清掃を強要する企業も少なくない。こうした独自の規定を義務づけ、社員の労働意欲を引き出し洗脳しようとする企業を「ポエム化する日本企業」と広く定義した場合、企業ではどれほど“ポエム化”が進んでいるのか?

◆なぜ会社にとってポエムは必要なのか?

ブラック企業, ポエム, 職業 ネット回線の営業会社に勤める植草祐介さん(仮名・30代)は日本企業のポエム擁護派の一人だ。

「ウチの会社は、300人採用された同僚が5年に20人しか残っらないほどの激務。そのなかで生き抜いてきた僕から言わせてもらうと、巷でポエムと騒がれている行為は必要だと思いますね」

 植草氏が勤務する会社は若い社員が多く、大学のサークル活動の延長のような雰囲気なのだとか。

「とにかくサプライズ好き。誕生日の人がいれば、業務中にパイケーキを顔面に投げつけて祝福したり、突然バリカンで坊主にされてお祝いされた同僚もいました」

 こうした手荒なサプライズが、激務にも耐えうる強い結束力を生むのだという。さらには、「『仲間意識を強めるためには、同じ釜の飯を食うのが大事』と課長の指示で社内で米を炊き、昼食時に課のスタッフ全員で食べていました。ことわざを地で行くのには正直驚きましたが、確かに団結力は増したように感じましたね」

 飴と鞭の使い方も徹底している。

「営業成績が悪いと、課長に暴力的な言葉を浴びせられ、正直心が折れる。すると登場するのが“飴チューター”と呼ばれる教育係の優しい先輩。待ってましたとばかりに激怒後の課長と入れ替わり、『課長も心を鬼にして言ってくれている』とフォローしながら、熱い言葉で叱咤激励してくれる。励ますほうも励まされるほうも男泣きですよ!」

 まるで自己啓発セミナーか新興宗教のようだが、そんなシーンはよく目にするという。

「ただ、正直合わずに辞めていく社員も多い。ですが、営業にはこのバカさも必要。能力なき者が去るのは、決して悪いことではないんですよ。辞める人は早くに見切りをつけて転職できるわけだし、残った人でこの世界で生き抜ける精鋭部隊をつくることができるわけですから」

 来年度からは“飴チューター”を任される草野氏。ポエムは脈々と受け継がれていくのだ。週刊SPA!3/11発売号では「[ポエム化する日本企業]急増中」という特集を組んでいる。「やりがい搾取」か「必要悪」か、読んで確かめてほしい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

【植草祐介さん(仮名)】
入社8年目。課の中で5~6人で構成される営業チームのチームリーダーを務めている。社内売上げNo.1を目標に掲げる課の力になれるよう奮闘中。仕事には厳しいが、常にスタッフのことを考えてくれている課長に心酔している

週刊SPA!3/18・25合併号(3/11発売)

表紙の人/筧美和子

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