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新卒1日目の昼食後に姿を消した新人女性。後日、手紙が届いて「お世話になりました」の一言に仰天

 多くの企業が新入社員を迎え入れる春。新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。とはいえ、せっかく就職したにもかかわらず、すぐに退職してしまう人もいる。業務内容や職場環境が合わなかったなど、人によって理由はさまざまである。  医療現場で働く理学療法士の田中健さん(仮名・30代後半)は、これまでに新人の早期離職を何度も見てきたという。そのなかでも特に印象に残っている2つのケースを教えてくれた。

劣等感を感じて涙「なんで自分だけできないんだろう」

膝の運動療法を行う理学療法士

※写真はイメージです。以下同

 総合病院に新卒で入り、回復期病棟に配属された理学療法士のKさん(仮名・23歳・男性)は、大学時代はスポーツをやっていたという爽やかな好青年だった。しかし、わずか3日目の午後、思わぬ出来事が起こる。 「歩行練習を指導中にふと振り返ると、彼がベッドサイドで泣いていたんです」  田中さんが声をかけると、しばらく無言だったKさんはやがてポツリと漏らした。 「なんで自分だけできないんだろうって……」  彼は同期たちが業務をスムーズにこなしているのを見て、焦りと劣等感に押しつぶされていたのだ。教育担当の先輩は決して厳しいわけではなく、むしろ温かく接していたという。それでもKさんにとっては、患者対応や上司への報告などにプレッシャーを感じていたのだろう。

わずか5日目で退職を申し出て…

 その日の夕方、上司と田中さん、Kさんで面談を実施。彼は意外な本音を吐露した。 「ずっと人と関わるのが苦手だったけど、リハビリなら専門技術なのでなんとかできると思っていました」  だが、現場では人との関わりこそが中心なのである。知識や技術だけではどうにもならない。現実とのギャップに直面し、Kさんは5日目に退職を申し出た。 「今はまだ、患者さんと向き合う自信がないです」  そんなKさんの姿に、田中さんは複雑な思いを抱いたという。
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「自分には向いていない」オリエン後に姿を消した新人看護師
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