パチンコ広告規制から約2か月。パチプロが苦境に!?
原発事故以降、世間から厳しい視線を向けられているパチンコ業界。石原都知事が自動販売機とともにパチンコ店を目の敵にしたことも記憶に新しい。
そんな世間の風を受けてなのか、それ以前から動いていた話なのかは定かではないが、パチンコ店といわゆるパチプロにとって大打撃となる出来事がこの夏にあった。
8月1日をもって、パチンコ店の広告・宣伝の規制が徹底されたのだ。
「パチスロ台の設定をにおわす告知の禁止」「換金率の告知禁止」など数々の規制が行われたが、もっとも大きかったのが「パチンコ店のイベントを告知することが禁止された」こと。パチンコ、パチスロに馴染みのない人には、なにを言っているかさっぱりわからないと思うが、「イベント」とは「今日はこの機種がよく出る日ですよ~」などとパチンコ店が客に対して事前告知し、集客すること。客側もむやみに台を打つよりも、「一応、設定が入っているらしいよ」という期待をもって打てていたので、店側、客側双方にとって、「イベント」は大事な存在になっていたのだ。まあ、ガセイベントも数々存在したが(実は、ずいぶん前からイベントの告知などは禁止されていたのだが、それをパチンコ店側は無視してきた。それに対して、警察が本腰を入れて規制の徹底を図った、ということらしい)。
ここ数年、「イベントプロ」と呼ばれるパチプロが存在していたが、彼らにとっては大打撃だ。彼らはパチンコ店から送られてくるメールなどを頼りに、「今日はあの店のあの機種を打とう、明日はあの店だ」と立ち回っていたのに、それらが一切なくなってしまったのだから。規制から約2か月、パチプロが苦境に立たされているのでは? と、パチンコライターのウエノミツアキ氏に話を聞いた。
「確かに朝イチの並びは減りましたね。これまではイベント告知によって『あの機種に今日は設定が入っている』ということがわかっていましたが、今の状況ではわざわざ並んでまで機種を押さえる必要がないですから。これまで、イベントというと『0のつく日は●●祭り』とか、『1のつく日は●●が熱い!』みたいな告知が多かった。一応、店も『イベントの告知はできなくなりましたが、これまで通りに営業します!』みたいな告知をしているので、「今日は0のつく日だから、昔通りに設定を入れるはず」と、日付や曜日を頼りに立ち回っている元イベントプロも多いみたいです。ただ、それもいつまで続くことか。結局、日付、曜日イベントを知っている人だけが有利だと、新しい客にはメリットがないですし」
ただ、これまでは高設定が入っている台は朝からプロに押さえられていたが、「店によりますが、まんべんなく設定を入れられるようになったので、夕方からサラリーマンが増えているケースも存在します」とのことで、一般客にとっては多少のメリットも存在する可能性もある、とウエノ氏は言う。「まあ、ミリオンゴッドみたいに設定入れなくても客つきがよくて、出玉感を演出できる台がでちゃったので、どこまで店が設定入れるかはわからなくなりましたけどね」
さて、実を言うと、地域差もあるのだが、8月の上旬ぐらいまでは、店舗からは貼り紙などによるイベント告知がなくなっていたものの、店のブログなどでこっそりとイベント告知が行われていた。だが、中旬ぐらいから、警察の監視が入ったのかは定かではないが、ブログによる告知もあまり見かけなくなった。現在でも、これらの規制を一切無視している店も存在するというが、今後、パチンコ店はどのように集客を計っていくのだろうか?
「こっそりとトイレにイベント告知をしたり、店員が口頭で『今日はこの台がオススメで~す』とか言ったりと、いろいろと裏の道を模索している店舗もあります。まあ、いつまで持つかわからないですけど。それで、実は増えているのが『有名パチンコ・パチスロライターが○日に取材に来る!」と告知をすること。呼ばれたライターは『今日はこんな台を打とうと思っている』とかブログやツイッターに書くわけですが、客は『わざわざあの人気ライターが取材に来るということは、設定を入れるのではないか』と集客効果があがっているんですよ」
ただ、大阪では等価交換が禁止されたり、もしかするとパチンコの釘をいじることが完全に禁止されるかも(これも、本来はいじってはいけないものなのだが、規制破りが常態化しているらしい)などの情報があり、ますますパチンコ店は苦境に立たされていく可能性があるようだ。
取材・文/織田曜一郎
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ