VERY妻たちの“トンデモ美学” 「オシャレな介護生活」「自分の名前が古臭くてイヤ」
昨今、日本中の主婦から“教典”として崇められる女性誌『VERY』(光文社)。
三浦りさ子が表紙を飾っていた頃の白金コマダム臭を少しずつ脱臭しながら、より高感度なファッション誌へと進化。時にはユニクロもフィーチャーする一見カジュアルな世界感で、「セレブ主婦向け雑誌」というイメージは壊さないまま、今や庶民主婦をもグイグイと取り込んでいる。
週刊SPA!6月10日号では、「VERY的ライフスタイル」を追求するあまり、家計にまで影響を及ぼす庶民妻の実態をリポートしているが(https://nikkan-spa.jp/651483)、担当編集である筆者が取材を進めながら気になったのは、彼女たちのカネ使い以上に、その「細かすぎるコダワリ」であった。
実際のところ『VERY』という雑誌は、きわめてセンスがよく、かつ実用的なファッション誌であり、取り立てて珍奇なライフスタイルを提案しているわけではない。ただ、その根底には「他の主婦から羨ましがられるような自分でありたい」という、主婦たちのドロドロとした欲求が流れている。『VERY』そのものには、そうした欲求に自分でツッコミを入れるような洒落っ気もあるのだが、読者までが同様の余裕を持ち合わせているわけではない。
かくして「理想のVERY的ライフスタイル」の定義を勝手にこじらせた主婦が、世に蔓延中という次第。というわけで、SPA!本誌では紹介しきれなかった、VERY愛読者主婦=VERY妻の珍コメントを紹介していきたい。
以下、「VERY的生活を営む上で、理想と現実のギャップを感じることは?」という筆者の問いに対しての、VERY妻たちの回答である。
●「自分の名前がイヤ。【民子】なんて『野菊の墓』みたいで古臭い! 昭和臭プンプン。親には悪いけど、もっとオシャレな名前がよかった」(民子さん・39歳)
『野菊の墓』は明治時代の小説では……というツッコミはさておき、VERY的センスとは名前にまで求められるものなのか。ちなみにこの方、「70歳のくせに、ひらがなで【あかり】」というお姑さんの名前に嫉妬しているらしい。
●「坊主頭で野球をやっている息子に対し、『高校に入ったらサッカー部に入って髪を伸ばして』と迫っている」(美紀さん・40歳)
子供は体のいいアクセサリー。息子さんもいい迷惑だが、次のケースは輪をかけて迷惑だ。
●「旦那が大衆居酒屋を経営しているので、店を閉めてダイニングカフェをオープンさせてほしいと懇願中。新橋のガード下並みにオヤジだらけの店じゃママ友を連れて行けない」(晴香さん・41歳)
あなたのVERY的生活を支えているのは、その居酒屋なのでは……。
●「夫の祖母(90歳)が最近寝たきりになり、姑から介護を手伝うように頼まれていることが目下の悩み。『VERY』の誌面で《楽しむのがコツ。オシャレな介護生活》とか特集してくれたらやる気になるかも」(絵津子さん・38歳)
“主役は自分”という妄執に24時間とりつかれた女たちの闇は深い。『VERY』、つくづく罪作りな雑誌である……。
<取材・文/日刊SPA!編集部>
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