更新日:2025年01月30日 16:41
エンタメ

『劇映画 孤独のグルメ』が絶好調。驚きの“パリでの恋”は「伏線が30年前の原作漫画にあるんです」久住昌之×稲田俊輔

松重豊さんが、初の監督・脚本と主演をつとめた『劇映画 孤独のグルメ』。「コケたらもう(井之頭五郎役は)やらない」と言っていた松重さんだが、1月10日の公開から18日間で観客動員数50万人を突破と絶好調で、なかなか“引退”はできなそうだ。
「劇映画 孤独のグルメ」

“パリの恋人”の娘を杏が演じる ©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

映画化と原作漫画誕生30周年にあわせて、渋谷パルコで「孤独のグルメ博」(~1月20日)が開催され、1月12日、原作者の久住昌之さんと、南インド料理店『エリックサウス』総料理長で数々の著作がある稲田俊輔さんによるトークショーが行われた。
久住さん稲田さん

久住さん(左)と稲田さん

『劇映画 孤独のグルメ』では、五郎の元恋人の娘(杏が演じる)がパリにいるという設定で、ラブストーリー要素に驚いた観客もいたようだ。だが、30年前に描かれた原作漫画には、この「パリの恋人・小雪」が登場しているのだ。 稲田さんはもちろん、当日の観客も原作漫画を読み込んでいる深いファンぞろい。「あの回で」と言うと、みんな「ああ~!」とうなずく。原作ファンにとってはたまらないトークの一部を紹介しよう。

漫画では、五郎はけっこう店選びに失敗する

久住:「孤独のグルメ博」では、谷口ジローさんの驚異的とも言える原画をみなさんに見てもらえて、原作者としても感無量でした。
孤独のグルメ博

孤独のグルメ博

稲田:『トリビュートブック 100%孤独のグルメ』で、浦沢直樹さんや江口寿史さんが描いたトリビュート漫画の原画も見られましたね。面白かったです。 久住:『トリビュートブック』は、他にも吉田戦車さん、大根仁監督、そして稲田さんも書いてくださり本当に感謝です。みなさんよく読み込んで自分なりの『孤独のグルメ』に昇華してくれてるなあと嬉しかったですね。 トリビュートブック稲田:原作漫画を何度も読んでいて気づいたんですけど、漫画の五郎ちゃんは、気まずい思いをしたり、あんまりおいしくなさそうだったり、けっこう「失敗」していますよね。それで、各エピソードに勝ち・負け・引き分けで〇×△を付けて勝率を計算してみたんですよ。 久住:ええ?そんなことする人いませんよ(笑)。 稲田:計算したらですね、五郎ちゃんの勝率は、6割8部8厘。  久住:ははは、意外に低い。 稲田さん稲田:ドラマだと、基本100%勝ってますから、そのイメージしかない方は、原作の勝率の低さに驚くのではないでしょうか。 久住:負け戦(笑)。どれが負けてましたっけ? 稲田:まずはいきなり1巻2話「東京都武蔵野市吉祥寺の廻転寿司」。五郎ちゃんが何度注文しても、店員さんに聞きとってもらえない。いきなり連載2回目で負け戦にしたっていうのは、一体何を狙っていたのか、何がしたかったのか?と。こんな漫画はほかにないですよね。  久住:『孤独の“グルメ”』と名付けていますが、いわゆる“グルメ漫画”を書く気持ちは最初から全然なかったです。

1995年の漫画にあった、映画の伏線とは

稲田:その後は、1巻5話「群馬県高崎市の焼きまんじゅう」。 久住:このあたりで少し遠出してみようということで高崎まで行ったんです。 久住さん 稲田:「なんだか…素朴な味だなァ」「これは思ったとおり……複雑な甘さだ」というのは、五郎ちゃんは多分、美味しいとは思っていないですよね。でもあえてネームにそういうこと書かなかったのが渋くていいなあと。 全体的に「なんだかなあ……」感が漂っているのですが、この回は負けとまでは言えなくて、自分の中では引き分けの△。 そしてこの回は、映画版につながる伏線が描かれているんですよね。 久住:そうそう、五郎のパリでの恋の思い出。30年も前に書いた一話のサイドストーリーが映画に使われて、しかも映画に出てくるのはその元恋人の娘。面白いですね。
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あの五郎に恋人がいた設定にしたわけ
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トリビュートブック 100%孤独のグルメ! それにしても腹が減った!
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和泉晴紀、イナダシュンスケ、戌井昭人、宇垣美里、浦沢直樹、江口寿史、大根仁、オカヤイヅミ、小田原ドラゴン、カレー沢薫、河内遙、久住卓也、コナリミサト、島田雅彦、新久千映、夏目房之介、山崎紗也夏、吉田戦車、ラズウェル細木らの寄稿を収録。1320円(税込み)


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