年々増加傾向にある博物館。中には、そのテーマや偏愛っぷりが来館者を楽しませてくれるところも少なくない。そんな、マニアも喜ぶ博物館を紹介。学問の秋を満喫しよう
◆博物館の宝庫!伊豆半島を巡る日帰り旅
A.まぼろし博覧会 B.ねこの博物館 Ç.怪しい少年少女博物館 D.伊豆極楽苑
今回は「車で走るだけで次々と変な施設が現れる珍スポットの宝庫」(フリーライターの大竹敏之氏)という伊豆半島で、4館を巡るロケを敢行!
最初に訪れたのは「怪しい博物館村 まぼろし博覧会」。閉館した秘宝館の展示物を買い取っては作り替えて展示しているという、2011年オープンの評判の施設だ。
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駐車場に着いて入り口を目指したが、その通路の展示から怪しさムンムン。「美少女神社」との立て札の横にセーラー服のゴリラ人形がいたり、婦人警官の人形がカビだらけだったり、「雨ガッパを来たカッパ」と説明の漢字が間違っていたりツッコみどころも満載だ。すでにココで唖然としているカップルもいたが無理もないだろう。
中に入ってすぐのおみやげコーナーもヘンで、虫捕り網が「幽霊捕獲網」、ビニール袋が「携帯便器」という名で売られていたりする。その横には、サブカル・アングラ系出版社「データハウス」の本が並んでいるのだが、同社の社長がここのオーナーとのこと。
建物はいくつかのゾーンに分かれていて、まずは「密林にたたずむ大仏と世界古代文明遺跡」へ。この施設、以前は熱帯植物園だったそうだが、生い茂る草木を生かしつつ、その合間に巨大な聖徳太子の顔を設置する発想はヤバい!
続いて「昭和の時代の通り抜け」ゾーンへ。1945年以降の各年のベストセラーや流行モノ、話題の人の人形などがギッシリ並んでいるが、各所のスピーカーからいろんな音が流れているわ、マリリン・モンローの人形がなぜか2体並んでいるわでカオス状態。続く「悪酔い横丁」は、秘宝館から買い取ったであろうエロい人形が「陰部神社」などの立て札とともに鎮座している。腕がモゲた人形を「傷だらけの天使」と名づけて展示しているのには「力業すぎだろ!」とツッコみたくなった。
最後の「魔界神社祭礼の夕べ」ゾーンは、新生児や動物の剥製、クジラの性器などが集まったエログロ度強めの場所。裸の妊婦の人形がズラリと並ぶ姿は圧巻だったが、どの人形も180cm級の巨体なのが何より気になった。
続いて訪れたのは「ねこの博物館」。建物は地中海風でファンシーな雰囲気だが、実は「まぼろし博覧会」の姉妹館。受付の方は「一緒に回られる方も多いんですよ」と言っていたが、ギャップに腰を抜かさないか心配だ。
1階の「野生ネコの世界」の部屋に入ると、いきなり2m以上あるシベリアトラが現れてビックリ。さまざまなネコ科の動物の剥製を展示していて、「ネコ科動物の単独展示としては世界一の規模」だそう。そして2階は、世界のネコちゃんたちが過ごす展示室&触れ合いコーナー。触れ合えるねこはいい子ちゃんばかりで、時間を忘れて遊んでしまいそうに……。
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心を鬼にし外に出て、次に訪れたのは「怪しい少年少女博物館」。ここも「まぼろし博覧会」と姉妹館で、展示は昭和レトロな雰囲気。注射器シャープペン、ペーパーローリング、ソフトグライダーなどが並ぶ土産コーナーは懐かしくなること必至!
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またオカルト関連の展示も多数。300円で購入して釘で刺せる藁人形には、「死ね佐藤!」などの呪いのほか、「年末ジャンボ当たれ!」などのお願いも書かれていて微笑ましい。お化け屋敷は相当な迫力だったが、「ブオー!」と音が鳴った方向を見たらドライヤーがあったのには笑ってしまった。
⇒【後編】『伊豆で“地獄”を見る!「伊豆極楽苑」が面白い』に続く https://nikkan-spa.jp/728117
●まぼろし博覧会
性器神チンガ王の横には「朕のチンにさわれ」「展示品へお手をふれないでください」と但し書きが2つあり混乱を誘う。村崎百郎の展示コーナーも。
住:静岡県伊東市富戸字梅木平1310-1
営:無休
料:1200円
●ねこの博物館
ネコ科の剥製の展示、ねこと触れ合えるコーナーのほか、ねこの置物やキティちゃん、タイガースのグッズなどを展示するねこの美術館も。ねこグッズの販売もあり。
住:静岡県伊東市大室高原7-600
営:無休
料:1300円
●怪しい少年少女博物館
超合金ロボットなどのオモチャ、アイドルのレコード、さまざまなゲームなど、名前通り少年少女たちの思い出の品が盛りだくさん。オカルト関連の物も多い。
住:静岡県伊東市字街道下1029-64
営:無休
料:1000円
【大竹敏之氏】
名古屋ネタライター。『
東海発バカルト紀行』、『
東海珍名所九十九ヶ所巡り』など珍スポット本のほか、名古屋メシの著作も多数。近著に『
コンクリート魂 浅野祥雲大全』
― 全国[(珍)博物館]に行ってみた【5】 ―