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ツイッターで戦う少女・はるかぜちゃんが12歳で遺書を書いた本当の理由

春名風花 9歳でツイッターを始めて以来、実直でユーモラスなつぶやきを続け、ときには炎上や心無い発言とも真っ向から戦ってきた「はるかぜちゃん」こと春名風花。いまやツイッターのフォロワーが17万人を突破し、さらにイジメや炎上、殺害予告、差別など世の中の難問への彼女なりの思いをまとめた書籍『少女と傷とあっためミルク ~心ない言葉に傷ついた君へ~』を発売するなど、13歳にして日本中から発言が注目を集める存在となった。そんな彼女が昨年、あるインターネット番組で告白した「遺書を書いた」という過去。12歳の少女がどうして遺書を書くに至ったのか、今、改めてその真意をはるかぜちゃん本人に聞いた。 ――「生意気だ」「子供のくせに」「謝れ」「死ね」とたびたび浴びせられた罵声が遺書を書くきっかけになったのでしょうか。 本当につらいときに遺書を書きましたが、それは死ぬためではありません。自分がここまでの人生をまとめて振り返り、残りの人生を全力で生きるためです。たとえ、どんなに死にたくなくても、人は人である限り、いつか死にます。もし自分が死んだら、大切な人にぼくが何を考えて生きていたのかを、少しでも知ってもらいたい。だからどうしようもなくつらかったこと、魂が震えるほど嬉しかったことや家族や友だち、大好きな人に、面と向かっては言えなかった感謝の言葉を、絶対に書き記しておきたいと思ったのが遺書を書いた理由です。 ――人生を生きる意味を見直すために遺書を書いたと。 いじめや事故、事件で亡くなった子のニュースを見るたびに、もう聞けない言葉を探し求めて悲しむ人々を見るたびに、ぼくはまだ元気なうちに、できるだけたくさんの言葉を遺しておこう! と思います。人生の最期に残す「エンディングノート」は、おじいちゃんおばあちゃんたちだけじゃなく、ぼくみたいな若い人も、みんな定期的につけたほうがいいはずです。人生いつ何が起こるかわからないし、明日生きていられる保証はどこの誰にもありません。それに、もしも今、死にたいくらい苦しい人も、すべてを書いて吐き出すことで、明日を生き延びる光が見えてくるかもしれないですから。 ――匿名で投げつけられる罵声や炎上にも怯まない姿を見ていると、とても中学生とは思えないタフさを感じます。 ぼくだって正直言って、夜ひとりのときとか、心の準備ができていないときに、うっかりひどい言葉を目にしてしまうと心がズタズタになって、衝動的に死んでしまいたくなることもあります。そんなときはもう何も考えられません。けれどぼくは、見知らぬ他人に傷つけられて死ぬほどバカバカしいことはないと思っています。絶対に死んでなるものか。父と母が、13年間、命をかけて守り育ててくれたぼくの魂。顔も名前も知らない他人に殺されてなるものかって強く思います。だから、ぼくは死にたくなったら、死んだあとの世界に向けて大切に大切に遺書を書き、自分のこれまでの人生を見つめ直しながら、すべてを書き切ることにしているんです。 ――実際に書いてみて気付いたことはなんでしたか。 本当に不思議なんですけど、「あ、あれやってなかった!」「これやってなかった!」「あの食べもの、まだ食べたことがないな」「あの国にはまだ行ったことがないな」「これまだ伝えてなかった、大好きな人に大好きって言えてないや」「お父さんお母さんありがとう、あんなことあったね。こんなことあったね」「あ! あいつ! こんなにムカつくなら、どうせ死ぬなら、思い切り殴ってやればよかった!」って、夢や後悔や復讐心や、幼い頃の思い出がぐちゃぐちゃに入り混じり、丁寧に書けば書くほど、たくさんたくさんやり残したことが次々と出てくるんです。そして、「どうせ今死ぬのなら、あれもこれも、やれるかも」って、何もないところから勇気が、少しだけフンワリとわいてくるのを、確かに感じることができます。 ――「勇気を出すための遺書」という考え方はとてもユニークですね。 春名風花置き手紙のメモじゃなく、丁寧に丁寧に歩いてきた道をしっかりと振り返りながら、出会ったすべての人に遺書を書くこと。ダマされたと思って、試してみてください。自分では意識しなくても、細胞は毎日生まれ変わっています。今日の自分と明日の自分は、同じようでいて違う。今日がどんなに限界でも、今日、どんなに「死んだほうがマシ」「死んで、ラクになりたい」と思っていても、明日、何が起きるかは、誰にもわかりません。もしかしたら明日運命が変わってあなたを苦しめていたモノが一瞬にして消え去るかもしれない。もしかしたら、明日誰かがあなたを助けに来て、強く強く抱きしめてくれるかもしれない。死んだ後にそのことに気づいても、もう取り返しがつかないです。人は、毎日新しく生まれ変わっています。今日できなかったことが、明日も明後日もできないなんて誰が決めましたか? 死ぬ気で遺書を書いて、全身で泣いて……。明日も陽がのぼるよ。明日も、はるかぜちゃんと一緒に生きてみませんか。ぼくもまだまだ生きてやるから! 【春名風花】 通称はるかぜちゃん。 2001年2月4日生まれ。0歳から芸能界で仕事をはじめ、数々の映画、ドラマ、バラエティ、教育番組等で活躍。3歳のときには携帯電話を使い、ブログを始める。9歳から“はるかぜちゃん”名義でツイッターを開始。2011年3月、ツイッターで東京都の青少年育成条例問題に対し「都条例ぷんすか(ω)」とコメントしたことから話題となり、数日間でツイッターフォロワー数が4万人を超える。以降も、その内容の鋭さ、まっすぐさから数々のメディアで、発言が取り上げられるようになる。そのつぶやきを待つ人、今や17万人。今最も注目される中学生である @harukazechan <取材・文/日刊SPA!編集部 撮影/曽根川晶子>
少女と傷とあっためミルク ~心ない言葉に傷ついた君へ~

ツイッター戦乙女はるかぜちゃんは、今日も言葉をつぶやき、投げかけ続ける

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