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『虎に翼』で話題の土居志央梨、素顔は“よね”とは正反対「笑い上戸で、性格も楽観的です」

こわもてで高潔な役柄とは裏腹に、声色も高く、口調も穏やかで、『虎に翼』とは違う「笑顔」で答えてくれる。高い演技力を持つ叩き上げ女優が、“ブレイク”という翼を得た今だから明かす、半生、役者論とは? 日本初の女性弁護士、そして裁判官となった三淵嘉子をモデルにしたNHK連続テレビ小説『虎に翼』が話題だ。見どころの一つは、道なき道を進む個性的な登場人物陣。 なかでも一際存在感を放つのが、主人公・寅子(伊藤沙莉)の同級生で、男装姿の「山田よね」を演じる土居志央梨だ。その才能を高く評価し更なるブレイクを断言する作家・樋口毅宏が、彼女の素顔に迫った。

硬派な役柄とは正反対。笑い上戸で、性格も楽観的

エッジ0903──実は僕の妻が弁護士でして。『虎に翼』は、妻につられる形で見始めたんですが、今は僕のほうが熱心に毎日見ています(笑)。土居さん演じる「男装の麗人」山田よねは、すごくスパイスの効いた役ですが、改めて反響の大きさ、いかがですか? 土居:私が一番ビックリしていると思います(笑)。街中でも「もしかして“よねさん”ですか?」と同世代くらいの女性に声をかけられることが増えました。とても嬉しいですよね。 ──よねは寅子が通う明律大学の同級生。貧しい農村出身で、姉は女郎に売られ、自身も売られそうになった過去があります。いわば貧しい境遇から脱却するために弁護士を目指しているので、「女だからとナメられてたまるか!」と常に無愛想な表情をしている。 なのでNHKの情報番組『あさイチ』にゲストで登場した土居さんの笑顔をお見かけしたときは「おぉ、よねさんが笑ってる!」と嬉しくなりました。 土居:素の私自身は笑い上戸で、性格も楽観的。撮影中も女子部のメンバーとワイワイ騒いで笑ってました。ただ私が笑っている様子に見ている方がビックリしたという話を聞き、改めてよねが笑わないと思われていることに気づきました。

よねの強い言葉は「愛情の裏返し」

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新潟転勤から戻ってきた寅子と数年ぶりに再会した頃のよね(写真提供:NHK)

──そこは撮影になると切り替わるんですね。 土居:そうですね。ただ、よねは最初から「絶対に笑わない」設定というわけではないんです。どうしても「おまえ」「やめろ!」など台詞が強いので、「笑うタイミングがなかった」と言ったほうがいいかもしれません。 ――笑わないよねの姿に共感している女性って実は多いと思うんです。いまだに「女はいつもニコニコ笑顔で」という同調圧力は日本社会に残っていますし。そんなよねに脚本家である吉田恵里香さんは、ある種の女性の理想像を託したのではないかなと思います。 土居:たしかに「女は愛嬌」みたいな風潮、ありますよね。 ――そしていかんせん、よねは寅子に厳しい(苦笑)。寅子が出産を機に司法の道を一度、断念したときも「こっちの道には二度と戻ってくるな!」とか、終戦後、生き延びて再会したときも、寅子には笑顔ひとつ見せず、素直じゃない。そんなよねを土居さん自身、どうご覧になっているでしょうか? 土居:正直私も演じながら「なにもそこまで頑なじゃなくても……」と思ったことがあるし、寅子役の伊藤沙莉ちゃんと話したこともあります。よねは寅子を誰よりも信頼しているんですよね。 自分を常に律しようとする彼女にとって、寅子はさまざまな感情を刺激してくる特別な存在。だからこそ、よねの強い言葉も寅子への「愛情の裏返し」だと思って演じていますね。

15年続けたバレエをやめて、世界が色づき始めた

──土居さんは、子どもの頃からクラシックバレエをやられていたのだとか。 土居:クラシックバレエは3歳から18歳まで続けていました。母親が若いときにジャズダンスをやっていて、私にはバレエをやらせたいと思ったみたいで。ただ私は基礎的なバーレッスンは好きじゃなくて(苦笑)。 発表会で衣装を着て、役を演じるのが楽しかったんですよね。毎回、幕が上がるとき、スポットライトを浴びながら舞台の袖から出ていく瞬間がなによりも好きでした。「表現するって楽しいんだ」と感じられるようになった原点はバレエですね。 ──15年も続けたバレエをやめるのは、大きな決断でしたね。 土居:そうですね。高校1年のときに大きなコンクールに出たのですが、それが終わってからいわゆる「燃え尽き症候群」になってしまったんです。でもバレエ推薦で高校に入学している手前、やめたいとは自分からなかなか言えず。朝も起きられなくなって、正直限界でした。 親も私の様子に気づいていて、私が「もうバレエを続けられないかもしれない。普通に進学したい」と告げたら、すんなり理解してくれました。 ──似たような話をバレエ経験者である他の女優さんからも聞いたことがあるんです。その方は、自分を抑圧し続けてきたけど、バレエをやめた瞬間、「これからは好きなことをしていいんだと思った」とおっしゃっていましたよ。 土居:まさに。それまで灰色だった世界がようやく色づき始めたみたいな感じで。今でこそ撮影前もぐっすり眠れる能天気な私ですが、それもすべてのネガティブはその時期に置いてきた感じです。
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オープンキャンパスで映画監督・林海象に出会う
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