元子役・読者モデルの今。芸能界の厳しさも痛感、“歯科医師”としての新たな挑戦「20歳の女性が口を開けたら、歯がほとんどなくて」
いつか芸能界で活躍する日を夢見て“子役”や“読者モデル”として青春時代を過ごした人たちがいる。だが、そのうち成功するのはほんのひと握りである。その後は一体どんな人生を歩んでいくのだろうか。
現在、岐阜県の「うずら歯科医院」で副医院長を務める一方、タレントとしても活動している野尻真里さん(31歳)。芸能界の厳しさに直面し、挫折も経験してきた。今回はそんな彼女が、歯科医師とタレントの“二足のわらじ”を履きこなすようになるまでの道のりに迫る。
野尻さんが芸能活動を始めたきっかけは、小・中学生の頃に愛読していた雑誌だったという。
「小学校高学年の頃から中学生向けファッション雑誌『Hana*chu→(ハナチュー)』(※現在は休刊)をずっと読んでいました。雑誌には“読者アンケート”のページがあって、自分はこんなに大好きなんだから書いて送ってみようかなって」
読者アンケートに写真とプリクラを貼って送ってみたところ、数週間後に編集部から電話がかかってきた。その内容は「“読者モデル”をやりませんか」というスカウトだった。
しかし、撮影は基本的に編集部のある東京都内で行われる。岐阜県の飛騨高山に住んでいた野尻さんにとっては、まさに「夢のように遠い話」に思えたそうだ。
「事情を話したら、編集部の方が『じゃあ、写真を送る形で載せられる企画はぜんぶ声かけてあげるね』って言ってくれたんです。それで、地方にいながら自分が送ったものが雑誌に掲載されるようになって、純粋にすごく楽しいな、うれしいなって」
そこから高校進学のタイミングで芸能活動が本格化する。
「親から『高校は好きなところに行っていいよ』って言われたんです。『それは全国どこでもいいの?』って確認したら、『うん、どこでもいいよ』って」
野尻さんは「制服が可愛くて勉強もそこそこできる高校」を探した。そして、山梨県のある高校に進学を決めたのだが、卒業生には芸能関係者も多かった。
「引っ越して東京に出やすくなったので、高校生になってからは事務所にも入って。土日に演技のレッスンを受けたり、ドラマの現場を見に行ったり、学校で勉強しながら自分の夢を追いかけるみたいな生活になりました」
こうして雑誌の読者モデルと並行して子役としても活動するように。ここから順風満帆にいくのかと思いきや、“芸能界の厳しさ”を痛感したという。
「オーディションは覚えていないぐらい行きました。ただ、結果としてはぜんぜん残せなかったですね。現場を知るためにエキストラもたくさんやったのですが、テレビを見ているだけではわからなかった部分も見えてきて。
当然ですが、きちんと役のある女優さんと、ちょっとセリフがあるだけの人、エキストラでは扱いがまったく違ってくるので。芸能界って厳しいんだなって」
中学生時代、地方にいながら雑誌の“読者モデル”に
高校進学を機に芸能活動を本格化、“子役”では厳しさも痛感
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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