ニートで肥満の“恋愛サイコパス男”が編み出した「モテ戦法」とは?【コラムニスト原田まりる】
―[コラムニスト原田まりる]―
書籍『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた』のプロモーションで京都に帰る機会があり、地元の友達二人とご飯を食べに行ってきた。
そのうちの一人、O君は恋愛の話が好きでよく話すのだが、毎度会うたびに話題にする女性がコロコロ変わるのだ。私は、「前から思っていたけどさ、なんでそんなに気が多いの?」と聞いてみると、その場にいたもうひとりの友人が「こいつは、“恋愛サイコパス”なんだ……」と意味深に呟いた。
恋愛サイコパス!? 初めて聞いた言葉だけれども、なんとなくの意味は想像できる。しかも何とも言えない語呂の良さ。私は一瞬でその言葉の響きに惹きつけられてしまった。「え、恋愛サイコパスとは一体……?」おそるおそるO君に尋ねてみると、O君はニタァと冷たい笑みを浮かべながら、静かに語り出した。
まずO君のスペックから話すと、大富豪の御曹司である。ケタ違いのお金持ち。これだけ聞くと、普通に黙っていてもモテそうだが、O君にはコンプレックスがあった。それは超巨漢ということ。O君は小さいころから「自分は肥満児である」という自意識と共に生きており、女性にモテたこともなかった。
そこで、「肥満の俺でもどうすればモテるのか?」を昼夜延々と考え続けた。
モテに対し貪欲になりすぎた結果(?)、年齢が30半ばになる現在でも、社会経験が一度もない。ただ、神はO君を見捨てなかった。社会経験を積まず、ひたすらモテる方法を熟考し続けたO君に「ID恋愛」というひらめきを授けたのだ。
「ID恋愛」とは、野村克也監督が編み出した戦略「ID野球」の恋愛ver.である。O君曰く、「ピッチャーと打者の特性をいかして戦略を考えるID野球のように相手と自分のポジションを正確に把握し、その距離を詰めるための戦法を論理的に考える恋愛戦法」だという。いちいち野球で例えてくるあたりがおっさんくさいが、なるほど恋愛の本質をおさえているようにも思える。
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