“サバイバー・シリーズ”誕生秘話――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第71回
この年の3月に開催された“レッスルマニア3”のPPV放映は、全米で44万1000世帯が有料受信し、アメリカ国内でケーブル回線と契約している一般家庭500万世帯のうちの8パーセント以上がハルク・ホーガン対アンドレ・ザ・ジャイアントの“世紀の一戦”を有料視聴したという驚異的なデータをはじき出していた。ケーブルTV業界ではプロレスのPPVはビッグビジネスになるというコンセンサスがすでにできあがりつつあった。
しかし、ビンスはこれらのケーブル局各社に対し「“スターケード”をPPV放映したチャンネルには来年の“レッスルマニア”はフィード(映像供給)しない」と通告。“レッスルマニア”で見込まれる数百万ドル単位の視聴契約を重視した大手ケーブル局各社は、WWEサイドの強権発動を受け入れる形で“サバイバー・シリーズ”と“スターケード”のカップリング放映を断念。結果的に、中小レベルのケーブル局5社だけが“スターケード”の放映権をキープした。
その後、NWAクロケット・プロはケーブル局各社からのリクエストで“スターケード”のPPV放映開始時間を当初予定された午後7時から午後4時という視聴者の在宅率の低い時間帯に変更。“電波”とそのスペースでもWWEの“サバイバー・シリーズ”の前座に追いやられた。ビンスは本気になって“スターケード”をつぶそうとした。
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