貧困ビジネスに搾取される人たちには“グータラ病”が蔓延している【生活保護の闇現場】
「ここは仕事しなくていいし、まずい飯だけどとりあえず3食食えて、タコ部屋だけど寝るところはある。その上お小遣いまでもらっちゃうと、もう働く気力なくなるよな」
国が生活保護を支給する前提には“自立支援”がある。が、当施設では就職活動が禁止されているのだ。著者は生活をはじめた当初、いくつかの求人に電話をしていたところ「ここは仕事探しちゃだめだよ! そういうルールだから!」とベテラン入所者から厳重注意を受ける。就職活動が禁止されている理由は、「自立されて生活保護が受けられなくなったら困る」という施設側の思惑だ。著者はこうした入所者全体に蔓延するグータラの構造を“ユニティー病”と命名する。
〈「貧困ビジネス」と呼ばれているが、もしかしたらこれは「怠け者ビジネス」なのかもしれない。入所者が怠け者になってくれることが、この手の業者にとっては最も好都合だからだ〉
本書では、そうした貧困ビジネスが成り立つ仕組み、生々しい生活の実態、善人面をした会長の老獪さから、行政の不備への問題提起、著者の闘争劇が綿密に描かれている。是非、手に取って、現代社会に蠢く闇を感じてほしいと思う。 〈文/スギナミ〉
『潜入 生活保護の闇現場』 長田龍亮・著 ナックルズ選書 本体1000円+税 |
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