遺産相続でコロコロ発言を変える叔父に困ってます【無職・男性・36歳の悩み】
【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
◆遺産相続でコロコロ発言を変える叔父に困ってます
ゲスの極み叔父(ペンネーム)・無職・男性・36歳
遺産相続についてとても心配です。祖母(母方)が亡くなり、私の母、母の姉、母の弟が相続することになりました。その母の弟が(私から見たら叔父)が厄介な人物なのです。
「俺がすべての財産を相続するから皆は放棄して」「姉2人で半分ずつで相続して良い。自分は放棄する」「やはり皆で3分の1ずつにしよう」と発言がコロコロ変わるので、何かを企んでいるのではないかと心配です。
叔父が相続全般の指揮を執っているのですが、相続額はいくらなのかなど何も公開してくれません。このように頻繁に心変わりする人物に対してはどのように対応すればいいでしょうか?
◆佐藤優の回答
私は、無職の人が親や親族の遺産をあてにするというスタイルを好みません。人間は誰であっても、心身の健康不調などの特別の事情を抱えている場合を除いて、自分で働いて、その収入で生活するのが筋と考えています。相続は、家族制度と表裏一体の関係にあります。
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家族は、どのように子どもたちに価値を伝えるようになっていったのか。 かつて日本では、農業従事者が人口の八割を超えていた。子育ては共同体で行われていたという。飢饉などで子どもが多すぎるときには、取り上げババが、生まれた子どもの口をそっと濡れた布で塞いだ。それが人口調整となった。
被支配階級である農民は移動を厳しく制限され、生涯をその土地で暮らし、家業、土地、財産を次世代につなげた。長子がイエを継ぎ、弟たちはときには兄の使用人として働き、一生結婚できないこともあった。性は一族の産業や土地、財産を次世代につなげていく装置でもあった。
封建社会を大きく変化させたのが、明治維新だ。戸籍が作られ、家長を中心に「イエ」が作られる。人口の一割に満たなかった武士階級のイエ制度の一般化だったともいえる。(『家族幻想――「ひきこもり」から問う』40頁)。
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つまり、財産を相続する以上何らかの貢献をイエに対してしなくてはならないというギブ・アンド・テイクのルールに従って相続がなされるのです。
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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