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外国人観光客は「嫌?」「受け入れる?」――日本人も昔は海外で同じことをしていたという歴史

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―  がしがしと『イントレランスの祭』の公演を続けています。4月29日~5月6日は「よみうり大手町ホール」でやります。チケット、ありますのでググってみて下さい。  制作が大阪公演(4月22日と24日に終了)に向けて準備している時に「ひぇー! ホテルがないっ!」と叫びました。大阪、ホテルが慢性的に不足しているようです。USJ(大阪的には、ユニバですな。なぜ、大阪人はマクドとか三文字に略するのでしょうか)の大ヒットと、外国人観光客の激増によって、大阪ホテル戦争が勃発しているわけです。  東京もそうですが、街を歩いていて、本当に「外国人観光客」が増えました。気がつくと、交差点で周りがすべて中国人なんてことも普通になってきました。
外国人観光客

※写真はイメージです

 で、一部で「外人ばかりでなんだか嫌」なんてことを言ったり、書いたりする人か出てくるわけです。  以前、新宿のラーメン屋さんのカウンターに座っていると、中国人のグループ客が4人ほど入ってきました。一人、女性がティッシュで鼻をかんで、そのテッシュをそのまま、カウンターの上の箸置きの横に置いたことがありました。床に捨てるわけでも、ゴミ箱を探すわけでもなく、当然のようにカウンターの上に放置したのです。さすがに驚きました。当然のように、その女性はラーメンを食べて、ティッシュを残したまま、店を出て行きました。  なんだかなあと思いながら、しかし、ヨーロッパで四十年位前は、日本人が同じことをしていたんじゃないかなあと、考えてしまうのです。  今から三十年位前、僕が初めて海外旅行に一人で行った時は、欧米で出会うアジア人はもっぱら日本人でした。団体さんにもよく会いました。  海外で同胞に会うと、なんだか、海外の貴重さ(?)が消えるような気がして、つい、距離を取りました。日本人でいっぱいのお店にはなるべく入らないようにしました。
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日本人も昔は同じことをしていた
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