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「女子大生シンガー」の刺傷事件を「アイドル」と報道することの怖さと誤解される“事件の本質”

肩書きは「アイドル」から「女子大生」へと修正

「アイドル刺傷」という報道に、少なからず違和感を覚えている人々はいたようだ。ネットメディア「BuzzFeed」は、24日20時53分に「『冨田真由さんはアイドルでなくシンガーソングライター』ワイドショー報道を危惧する声相次ぐ」との記事を掲載し、同日22時から放送されたTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」では「女子大学生が襲われた事件~ストーカー被害とメディア問題」と題して評論家の荻上チキ氏とプロインタビュアーの吉田豪氏が議論を交わした。  一連の報道に対して疑問を抱く声が大きくなったことにより、26日現在では、こうした報道の流れは変わりつつある。それを象徴しているのは、ヤフーニュース「主要トピックス」の見出しだ。ヤフーニュースでは、新聞・テレビ・雑誌・ウェブなど各社から配信されたニュースから「主要トピックス」を掲出しているが、事件発生直後から26日の正午までに掲載された17の関連ニュースを見ると、見出しは「20代女性→アイドル→女子大生」と変化していることがわかる。以下に、ヤフーの見出し(左)と配信元の見出し(右)を時系列で紹介する。 [21日 20時4分]■20代女性刺され重体 男を確保/女性アイドル刺され重体=ファンの男、傷害容疑で逮捕―イベント前・警視庁(時事通信) [21日 20時25分]■会場でアイドル刺され重体/女性アイドルが男に刺され意識不明 東京・小金井でファンイベント(産経新聞) [21日 22時2分]■アイドル 20カ所超刺され重体/女性アイドル、刺され重体 警察に複数回相談 東京(朝日新聞) [22日 7時44分]■アイドル刺傷 執拗な投稿相談/「ブログやツイッターに執拗に書き込み受けている」被害者の冨田真由さん、警察に相談(産経新聞) [22日 9時32分]■逮捕の男 駅からアイドル追う/男が駅から後つけていた アイドル刺され重体(テレビ朝日系(ANN)) [22日 11時30分]■アイドル刺傷 贈り物で憤慨/プレゼント返され憤慨=逮捕の男「殺すつもりだった」―警視庁(時事通信) [22日 18時14分]■アイドル刺傷 握手会中止も/「A応P」握手会など中止相次ぐ アイドル刺傷事件影響か(スポニチアネックス) [23日 9時6分]■アイドル刺傷「殺すつもり」/アイドル刺傷 贈り物返され怒り 容疑者「殺すつもりだった」(産経新聞) [23日 22時23分]■アイドル刺傷 防げなかったか/アイドル刺傷事件「警察が迅速に動けるための改革が急務」悲劇を防ぐためには?(弁護士ドットコム) [24日 8時31分]■アイドル刺傷 2時間待ち伏せ/<アイドル刺傷>容疑者「駅近くで2、3時間待ち伏せした」(毎日新聞) [24日 12時49分]■アイドル刺傷 無視され追跡/<アイドル刺傷>「無視されたので追った」駅近くで声かけ(毎日新聞) [24日 19時18分]■アイドル刺傷 わいせつ本贈る/アイドル刺傷 逮捕の男「声を掛けたが無視され、追いかけた」わいせつな内容の本も贈る(産経新聞) [25日 2時4分]■アイドル刺傷 直後に自ら通報/事件直後、本人が110番=刺傷のアイドル、「助けて」悲鳴も(時事通信) [25日 7時41分]■刺傷の女子大生 直前自ら通報/<アイドル刺傷>事件直前、被害者が110番(毎日新聞) [25日 11時20分]■ストーカー規制法 SNS含まず/アイドル刺傷 ストーカー規制法、SNSは対象外 警察の情報共有課題(産経新聞) [25日 12時16分]■女子大生刺傷 警察は自宅急行/<アイドル刺傷>警察、位置情報確認せず 被害者110番に(毎日新聞) [26日 8時36分]■女子大生刺傷 悔やまれるミス/女性アイドル刺傷 「絶望の110番通報」悔やまれるミス(フジテレビ系(FNN))  こうして見ると、配信元は「アイドル」だが、25日朝の掲載分から「女子大生」へと修正されていることがわかる。同様に、NHKニュースも21日の「女性アイドル刺され重体 ファンとみられる男逮捕」から、23日には「女子大学生刺傷事件 1月ごろからつきまといか」と冨田真由さんの肩書きを修正している。  世間の注目を集め、視聴率やアクセスを稼げるのは間違いなく「アイドル」の刺傷事件と報道することだが、事件の本質を見誤ってはならない。
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