ビンスが“CNNラリー・キング”でヒヤリ――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第121回
CNNは、人気トーク・ショー“ラリー・キング・ライブ”でWWEの“ステロイド疑惑”と“ホモセクシャル・ハラスメント疑惑”を取り上げ、名物キャスターのラリー・キングとビンスの“シングルマッチ”を企画した。
番組のゲストとしてジョージア州アトランタのCNNスタジオにやって来たビンスは「新聞の記事を読むまでそのようなこと(セクハラ)はいちども聞いたことがなかった」とコメントし、“ステロイド疑惑”についても「ハルク・ホーガンはステロイドを使用した過去(ケガの治療目的)を否定してはいない。WWEは厳しいドーピング検査を実施している。ホーガンはクリーン。WWEスーパースターズは全員、クリーンだと信じている」ときっぱり否定した。
ピッツバーグのスタジオからこの番組に“中継出演”したブルーノ・サンマルチノは、「彼はほんとうのことを話していない。WWEのレスラーはドラッグ漬け」とモニターの画面のなかからビンスの発言を糾弾したが、ディスカッションはそこで打ち切られた。番組キャスターのL・キングがプロスポーツ界のステロイド問題に関してややリサーチ不足だったことがビンスにとっては不幸中の幸いだった。
テレビのワイドショー、活字のタブロイド・メディアはWWEのスキャンダルを毎日のように報道しつづけた。マスメディアのまえから姿を消したホーガンは、親しい友人に「プロレスをやめて家族といっしょにハワイに移住したい」と告白していた。
ビンスはあるプランを実行に移そうとしていた。それは“悲劇のヒーロー”ホーガンの引退ドラマというウルトラCだった。それはビンスとホーガンの“蜜月”の終えんを意味するものだったが、ビンスはあえて長編ドラマの“最終回”を選択した。“レッスルマニア8”の開催まですでに1カ月を切っていた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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