更新日:2017年11月30日 15:16
スポーツ

ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード06=ホーガンとザホリアン医師――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第159回

 マクデビット弁護士は「もういちどだけ」と前置きしてから「ビンスがあなたに直接電話をかけ、ステロイドを注文をしたことはいちどもなかったのですね」と念を押した。 「ありません。わたしがミスター・マクマホンと最後にお会いしたのはペンシルベニア州ハーシーの試合会場です。1989年6月と記憶しています」 「あなたがタイタン・スポーツ社に送った宅配便の中身を知っていたのはあなただけですか?」 「わたしとその荷物の受け取り人だけですね。わたしがクリニックからタイタン・タワーに送った荷物はステロイドだけではありません」  ここでマクデビット弁護士は、検察サイドがあえて使わなかった証拠物件として1989年4月12日付のザホリアン医師からダン・ブラワー氏宛ての宅配便の領収書の存在を指摘した。この“4月12日”という日付けはひじょうに重要なポイントだった。  ザホリアン医師―ビンス―ホーガンの順番でステロイドが不正に販売・流通されたとする“4・13事件”の前日、ホーガンが(自分のために)発注したステロイドがホーガンの友人宅に配達されていた。検察サイドのシナリオにまたも矛盾が生じた。(つづく)
斎藤文彦

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