泣ける! 不妊治療カップルたちの珠玉エピソード集
『両親を失った僕に、妻が……』(39歳・医療)
「妻は、僕の母親が亡くなったときに一緒にいてくれ、父親が亡くなったときも死に目に合ってくれた。そして僕と同じくらい、両親の死を悲しんでくれました。
そのときはすでに不妊治療をやっていて、両親を失った僕に
『早く新しい家族をつくってあげられなくてごめんなさい』
って、妻が涙を流しながら謝ってきたんです。
妻がそんなふうに考えてくれていたなんて初めて知って。もうね、愛しいやらいじましいやら、こっちも泣けてきて……。赤ちゃんなんかできなくても、こいつがいれば俺は幸せだ、って本気で思いましたね。そう気づかされただけでも、不妊治療を3年も頑張った甲斐がありました。
以来、妻は『大丈夫、お義父さんとお義母さんは帰ってくるから』といつも言っているんです。これは、僕らの子どもとして輪廻して産まれてくる、という意味だと捉えています。彼女なりの愛情の言葉なのでしょう。凄く嬉しかったです」
不妊治療とは、夫婦の絆を試す大きなリトマス試験紙のようなもの。互いを思いやる心を持って治療をやりきることができたなら、例え授かることはなくても、互いへの愛情は大いに深まるのかもしれません。
【村橋ゴロー】
1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』(主婦の友社刊)がある。Twitterは、@muragoro
『俺たち妊活部―「パパになりたい!」男たち101人の本音』 借金まみれのどん底ライターが妻と挑んだ、涙と笑いの妊活記録 |
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