日本ハム・栗山監督の“愛言葉”がパを制す!? ~英樹の異常な愛情~
また、栗山監督というのは例えではなく、24時間365日野球のことを考えているのではないかと、思わせる節がある。
沖縄秋季キャンプの休養日に、ヤンバルクイナを観に行ったときも、天敵がいなくなったことで飛べない鳥となった特徴をとらえ、
「無駄がなくなることも進化のひとつ。ウチでいえばベテランの田中賢介。彼にも無駄がない。そういう選手を作りたい」
と、幻の野鳥から指導法のヒントも。
あと、シーズンオフの読書で興味を持ったという“伝説のヒグマ猟師”との対談を自ら企画し、そこから野球のヒントを得たりと、栗山監督にとってこの世のすべてが“野球”なのである。
そして栗山監督は、格好つけることを知らない。「どう思われたい」とか「こう見られたい」というものがないのだ。明治大から、走攻守揃った岡大海という選手が入団したときだ。オカヒロミという名前から『エースをねらえ!』について記者から質問されると、
「オレさぁ、毎週『マーガレット』を買いに行ってたんだよね。オレは男子校でね。目の前が女子校で、買うの恥ずかしかったなあ。何か縁があると思うね」
要らない詮索というか余計な想像をさせないために、常人なら「マーガレット買ってた」という事実があっても、言う前に一瞬、ウッて考えるよね。しかし素直すぎる栗山監督には、そのリミッターはないのである。
14年のオフ、来季の自らのテーマを【狂】と掲げた。
「勝つためには『監督おかしくなった』と思われるくらいやる」
この言葉には、意味がある。
「これまで時代を変えてきた人たちは『この人、おかしいんじゃないか?』と、言われてきた。ムチャクチャにする。先入観にとらわれず、誰がなんと言おうと、やろうと決めたことには体全体でぶつかっていく」
筆者はこの言葉を聞いたとき、あるCMを思い出した。
「クレイジーな人たちがいる」
というセリフから始まり、アインシュタイン、モハメド・アリ、ジョン・レノンなどが登場する、伝説のアップル社のCM“Think diferrent”だ。
そしてこう思った。「この人は、本気で野球というものに狂っているんだ、凄い」と。だからこそ【1番・ピッチャー 大谷翔平】なんてクレイジーな采配を振るえるし、「食べちゃいたい」とも本気で言えるのだ。そりゃマーガレットくらい読むわ!
今年の栗山ファイターズは優勝するのか、2位に終わるのか。きょうとあすの2連戦でおおよその答えが出る。
そのとき栗山英樹は、何を語るのか――。
【村橋ゴロー】
1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』(主婦の友社刊)がある。Twitterは、@muragoro
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