更新日:2012年08月19日 13:47
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オシャレで人気 仮設住宅を訪問

閖上に残った小高い丘から被災地域を望む。案内してくれたタクシー運転手は「これでも随分片付いたけど、片付くと本当に何にもなくなったということを実感するよね」と言っていた

 目下着々と復興の進む被災地。しかし、宮城県のとある町では、仮設住宅に当選したにもかかわらず、70%が入居していないという事実が明るみになった。仮設住宅に入居すると「自立」とみなされ、食料や物資の支給が打ち切られ、光熱費も自分で払わなければいけなことから、仮設住宅が「空洞化」しているという。  そんななか、記者は津波で大きな被害を受けた宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区を訪れた。その際、上記のような、同じ宮城県で起きている問題について地元のタクシー運転手に聞くと、「ここでは考えられないね~」と一笑に付された。なんでも閖上地区の住民が移住した仮設住宅はどこも大人気で、募集するやいなや満室となったというのだ。 「人気の仮設住宅があるから、見ていきませんか?」  名取市美田園にある「美田園第一住宅」。ここは6月に建ったばかりの仮設住宅で、閖上地区の住民105家族が入居している。実際に訪れると、そのオシャレな外観に驚いた。三角屋根の平屋で、外壁はレンガ調やタイル調。造りも木造で、新築の建て売り住宅のようで、ここが仮設住宅だとは気づかないほどだ。コンテナのように四角っぽく「プレハブ然」としている従来の仮設住宅とは大違いなのだ。  この6月5日に入居したばかりの伊藤美鶴枝さん(65歳)の”新居”にお邪魔した。津波で元漁師の夫を亡くしたため、現在はひとり暮らしだ。記者の突然の訪問に「散らかってるから~」とはにかみつつも快く部屋に招き入れてくれた。  間取りは4畳半が2室で収納も完備。5畳ほどのキッチン、バスとトイレが別であった。内壁は白を基調にし、床はフローリング。木造の新築住宅の木の匂いが充満し、とても気持ちがよい。実際、ここを通る地元の人も足を止めて見ていくほどだ。 「家財道具はぜんぶ備え付けられたいたから、身一つで入居できました。食料や調味料は避難所から分けてもらえましたし、入居して買ったのはどうしても欲しかった夏用の布団くらいでしょうか。部屋の広さも、ひとり暮らしには十分。家族で入居している方に申し訳ないくらいです。近くには大型スーパーや薬局もあり生活には便利な場所。本当にいたれりつくせりで行政には感謝しています」  冷蔵庫、洗濯機、ガスコンロ、電気ポット、炊飯器や32型の液晶テレビ、エアコンは日本赤十字社を通して。包丁、鍋などの調理道具は新潟県燕市が提供してくれたそう。どれも新品でピカピカ。伊藤さんも「台所が思っていたより広くって、料理をしたくなるわ」と嬉しそうに語る。 ⇒つづきはこちら

三角屋根がモダンな仮設住宅。棟によって外壁のデザインが変わる

1棟6部屋タイプのものが17棟、全体で105部屋ある

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