業界震撼!話題の「クルマにアルミテープを貼ると性能が高まる」は本当なのか?
――たった10~15%の違いが走行性能を悪化させるんですね?
山田:はい。空気は+に帯電しますが、ボデーも同じく+に帯電しやすい性質を持っています。そうなると、+(空気)と+(ボデー)の帯電ですので帯電量が多くなるに従って反発力が発生し、これがボデー表面を流れる空気を乱す原動力となるわけです。
――そこでこのアルミテープの登場ですか?
山田:そうなんです。たとえばボデーのある部位で、走行前つまり帯電していない状態での電圧が+20Vだったとします。同じ部位を10km走行後に再計測したところ+500Vへと25倍も帯電量が増加していました。次に一度この部位を放電させた上で、今度はアルミテープを貼り同じように10km走行します。すると、アルミテープを貼る前は+500Vだった部位が、アルミテープを貼るだけで、走行後+150Vと帯電量が70%も低下しました。
――数値で見るとわかりやすいですね。これは使用したアルミテープの素材がスゴイんですか? それとも櫛のような、このテープの形状がスゴイんですか?
山田:実は両方です。とはいえ目的は両方とも同じで、帯電しにくいアルミを使い、切り欠き部分が多くなるよう櫛状にしているのは、いずれも素早く放電させるためです。とはいえ製造工程はシンプルですし、原価も数百円と格安です。
ちょっとだけ専門的なことを言うと、今回トヨタが発表したアルミテープの理論は、走行中のボデーが受ける空気の流れを解析する「非定常空力解析」という分野の話だ。よくクルマのカタログなどでは「ボデーの空力が~」などというフレーズを使っているが、これは「定常空力解析」といって、止まっているクルマに空気を当ててその流れや抵抗値などから空気抵抗係数である「Cd値」を導き出している。
それに対して「非定常空力解析」とは、実際に走行しているクルマに当たる空気の流れを多角的に解析する最新の空力学だ。レーシングカーの世界では当たり前の話だが、これを市販車に応用したのだからトヨタのやることは実にスゴイ。
では、実際に体感できるのか? トヨタのスポーツカー「86」に乗り込んで、アルミテープの効果を体感してみることにした。
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